研究課題/領域番号 |
25450144
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
清田 洋正 岡山大学, その他の研究科, 教授 (30234397)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 全合成 / 抗生物質 / 単離構造決定 / taxane / enacyloxin / maoecrystal V / sanctolide A / organocuprate |
研究実績の概要 |
1.新規骨格・活性化合物の探索 イチイ属樹木(Taxus cuspidata)のメタノール抽出物から、タキサン誘導体を単離した。中国内において採取した植物ハーブ及びマングローブ(Xylocarpus granatumなど)から、新規な四環性骨格を有するリモノイド(ジテルペノイド)、ゲルマクレノイド(セスキテルペノイド)、ビフェニル環含有アミン、オレアン(トリテルペノイド)の脂肪酸エステル、フラボノイド等を単離し、構造決定した。ハーブの成分アラントラクトン類について化学変換を行い、ヒト肝癌細胞の増殖を抑制する物質を得た。同じく、兎腸内細菌を用いた二量化にも成功した。 2.新規骨格・活性化合物の合成研究 植物成分エチノピンAのラジカル環化、マエオクリスタルVのδラクトン環の形成を検討した。抗生物質JBIR-23及びプラテンシマイシン合成の鍵となる二環性中間体を合成した。海洋物質コルチスタチンのABC環部のモデル合成を行った。クリオナミン類の全合成に着手した。抗生物質エナシロキシン類の全合成研究では、C16'-C23'ポリオール部(有機銅ジアニオン)とC9'-C15'ポリエン部(酸クロリド)のカップリングにおいて新規なカップリング反応の開発に成功した。またキナ酸から誘導されるシクロヘキサンカルボン酸部分のジオール部の選択的保護をブロモ化したオルトエステルを経由することで行い、Horner反応を経てポリエン部との連結にも成功した。藍藻成分サンクトリドAでは、ラクトンの会館によるアミド部位のモデル合成に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.天然資源からの新規化合物の単離は順調に進行している。既に公表したものの他、構造未決定の化合物も含め生物検定も進行中である。単離化合物について、化学変換や微生物変換についても検討できている。 2.エチノピン類、JBIR-23、プラテンシマイシン:構想した鍵反応が狙い通り進行しなかったため別法を準備中である。海洋物質クリオナミン類、コルチスタチン類:骨格合成を含め予定通り進行している。マオエクリスタルV:鍵反応の検討により、選択した保護基に問題があることが分かった。保護基を変更した化合物の大量供給大古なっている。エナシロキシン類:新規なカップリング反応や選択的保護法の開発など十分な成果が上がっている。キロマイシン類:先ずエナシロキシンの部分合成を行う必要があるため、中断している。サンクトリドA:3つの合成断片ともに順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
1.天然資源からの新規物質の単離と生物活性評価については、このまま進める。また、単離品についての化学変換・微生物変換も進める予定である。 2.エチノピン、JBIR-23、プラテンシマイシン:予定していた合成経路を変更する。海洋物質クリオナミン類、コルチスタチン類:予定通り骨格合成を進める。マオエクリスタルV:保護基をチオアセタールからアセタールへと変更し、1炭素増炭反応をアルキン経由からシアノ基経由に変更し、全合成を目指す。エナシロキシン類:各合成断片のカップリング法を確立したので、全合成を目指す。サンクトリドA:合成単位の縮合により全合成を目指す。
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