研究課題
顕著な活性を有しながら構造が未解明である天然抗菌物質に着目し、薬剤耐性ピロリ菌に対し抗菌活性を有すセスキテルペン、黄色ブドウ球菌に対する抗菌物質Glabramycin 類、抗真菌活性を有するMajusculoic acid の3種の化合物群について、有機合成による構造決定を目指して合成研究を行った。1.薬剤耐性ピロリ菌に対し抗菌活性を有すセスキテルペン:これまでに成功したラセミ体合成について、光学活性体合成への応用を目的に各段階の収率向上と合成経路の効率化を検討した。しかし現在のところ中間体の大量供給には成功しておらず、光学活性体合成には至らなかった。2.黄色ブドウ球菌に対する抗菌物質Glabramycin 類:以前当研究室で合成を達成したSch642305の合成法を応用し、Glabramycin Bの合成研究を遂行し、三環性骨格の構築に対するトリエン側鎖の導入法を精査したところ、収率良くGlabramycin Bを合成する経路を見出し、これまでの結果を大幅に改善できた。また不安定である最終物の精製法も確立した。その結果、これまでに報告されている立体化学に誤りのあることが判明し、正しい相対立体配置を提唱することができた。3.抗真菌活性を有するMajusculoic acid:これまでに合成した最終物は天然物の鏡像体である可能性が示された。そこで中間体の光学純度の精査と天然型の鏡像体合成を検討した。天然型鏡像体の合成に必要なキラルビルディングブロックの調製とその後の化学変換には成功しているものの、還元時のシクロプロパン環の開裂などの問題点を残している。今後は還元条件の検討を行い、目的物を効率的に合成可能な条件を見出す予定である。
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