研究課題/領域番号 |
25450151
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中崎 敦夫 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (00366428)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ortho-アザキシリレン / 含窒素化合物 / 不斉合成 / 立体制御 / 3,3-二置換オキシインドール / 軸不斉 |
研究概要 |
本年度は、(1) 軸不斉を持つN-アリール-3-ハロオキシインドールを用いた3位のジアステレオ制御法の開発、および (2) N-アリールオキシインドールの触媒的不斉合成の二つを検討した。 (1) 軸不斉を持つN-アリール-3-ハロオキシインドールを用いた3位のジアステレオ制御法の開発を目指し検討した。すなわち、軸不斉を持つN-アリール-3-クロロイサチン (今回はラセミ体) から発生させることの可能なortho-アザキシリレンに対するさまざまな求核剤の付加によって、3,3-二置換オキシインドールが高いジアステレオ選択性で得られることが明らかとなった。特に芳香族求核剤では、当初の期待通り、95:5以上の高いジアステレオ選択性が達成できることを見出した。これによって、本方法によるインドールアルカロイドの立体選択的合成への展開が可能であることが期待される。 (2) ジアステレオ制御能を確認する目的だったため、(1)で使用したN-アリール-3-ハロオキシインドールはラセミ体をであったが、今回、その前駆体となるN-アリールオキシインドールの不斉合成を検討した。その結果、Heck反応の原料であるN,N-ジアリールシンナモイルアミドを合成するルートを確立することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(1) 軸不斉を持つN-アリール-3-ハロオキシインドールを用いた3位のジアステレオ制御法の開発: プレニルスズやシリルエノールエーテルなどの芳香環以外の求核剤ではジアステレオ選択性が低く、これを克服するための条件検討に時間を要したため。 (2) N-アリールオキシインドールの触媒的不斉合成: 分子内不斉Heck反応の原料であるN,N-ジアリールシンナモイルアミドの合成の際に、二つの芳香環が予想以上に大きな立体障害を持っていたため合成に手間取ったことが原因である。
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今後の研究の推進方策 |
(1) 軸不斉を持つN-アリール-3-ハロオキシインドールを用いた3位のジアステレオ制御法の開発: 芳香環以外の求核剤での低いジアステレオ選択性を克服するために、反応性を落とした求核剤を使用することで選択性向上を目指す計画である。 (2) N-アリールオキシインドールの触媒的不斉合成: N,N-ジアリールシンナモイルアミドの合成では、分子内アシル転位を使って合成できることが分かったので、これによって原料の大量合成を行い、実際の分子内Heck反応を精力的に検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
N-アリール-3-ハロインドールを使った3,3-二置換オキシインドールの検討がやや遅れたこと、及びキラルな光学活性なN-アリールオキシインドールの原料合成が遅れたことが原因である。 次年度は、分子内Heck反応を利用した光学活性なN-アリールオキシインドールの合成を検討し、大量合成のルートを確立する。この際には光学活性な配位剤とパラジウムなどの遷移金属錯体を購入する必要があり、これらの購入に充てる。
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