研究課題/領域番号 |
25450152
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
滝川 浩郷 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40271332)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ストリゴラクトン / 根寄生雑草 / 種子発芽 / 化学合成 / アナログ |
研究実績の概要 |
近年、地球規模での環境問題・食糧問題には極めて高い関心が注がれており、環境に優しい方法による作物保護は今世紀の最重要課題のひとつである。研究代表者は有機合成化学・天然物化学の視点からストリゴラクトン関連諸物質の合成化学的研究を行ってきた。 ストリゴラクトンは根寄生雑草種子発芽刺激物質に総称であり、近年、アーバスキュラー菌根菌の共生シグナルおよび枝分かれを抑制する植物ホルモンとしても知られるようになった化合物群である。主たる課題は天然ストリゴラクトン類の合成であるが、ストリゴラクトンおよびその類縁化合物には寄生雑草防除などへの応用の可能性が大いに期待されているため、作物保護への直接的貢献も視野に入れている。本年度の主な成果を以下に示す。 1)タバコより単離されたソラナコールの簡便な新規光学活性体合成を達成し、それを報告した。(印刷中) 2)亜麻より単離された7-オキソオロバンコールの合成中間体の光学分割を検討し、最適な分割剤の選択を終え、その除去法も確立した。現在は、7-オキソオロバンコールの光学活性体を合成中である。 3)ヒマワリから単離されたヘリオラクトンの合成を検討中であり、構造単純化モデル化合物を合成を達成した。 4)ストリゴラクトンのD環部分は活性発現に必須と考えられてきた。D環構造を改変した新規アナログをデザイン・合成したが、合成したアナログは全て活性を持たないことがわかった。 5)実用を指向したカーバメート型アナログ(研究代表者らが特許取得)の中で、コード番号T-010と名付けられた化合物をスーダンでの圃場試験に提供し、寄生雑草防除に効果があることを証明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定・目標は、天然ストリゴラクトン類の合成および実用を指向したアナログ合成双方において、「研究実績の概要」の記したように、ほぼ想定していた成果を得ているので、概ね順調と判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
研究は概ね順調に進行しているので、特段の変更ななく、着実に研究を進めていく予定である。ただし、ストリゴラクトン生合成中間体の解明が進展し、それらの関連物質の合成化学的供給に対する必要性が高まってきたので、対応を検討する。また、既にその合成研究に着手しているヘリオラクトンをはじめとする、従来のストリゴラクトン骨格を持たない新規ストリゴラクトン類の単離が相次いでいるので、対応を検討する。 なお、27年度が最終年度になるので、成果の公表に注力する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
繰り越しが出た主たる理由は、成果発表および研究打ち合わせの旅費が想定より少なかったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
27年度は最終年度であるため成果公表等に注力する予定であり、繰り越し分は旅費等での使用を想定している。
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