研究課題/領域番号 |
25450155
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
荒川 賢治 広島大学, 先端物質科学研究科, 准教授 (80346527)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 放線菌 / ポリケチド / 生合成 / リボソームDNA / ポリエンマクロライド / 制御遺伝子 / 線状ゲノム |
研究実績の概要 |
本年度は以下の2項目の研究項目を遂行した。 (1) 二次代謝の網羅的覚醒を指向したStreptomyces rochei染色体全塩基配列決定; イルミナGA-II次世代シークエンサー解析より100 kb 以上のcontigsを30本までにアセンブルしたが、短contigを含めると170本以上あり、ゲノム構成の全体像を把握するのは困難であった。そこでPacBio R-II次々世代シークエンサーの解析を組み合わせたところ、contigが8本まで集約でき、全長は8.36 Mbであった。現在高度な繰り返し配列を有するリボゾームDNAオペロンの連結作業を行っている。 (2) 主要生合成経路の遮断により得られたポリケチド化合物の構造解析および生合成マシナリー解析; ランカサイジンの生合成初発を司るポリケチド-非リボゾーム性ペプチド合成酵素遺伝子lkcAの遺伝子破壊株から3つのポリケチド化合物を見出した。それらの構造解析を行ったところ、ポリエン化合物ペンタマイシンおよびポリケチド化合物シトレオジオール・epi-シトレオジオールであった。これらの生合成遺伝子は線状プラスミドに存在せず、染色体に存在することが示唆された。上述(1)の塩基配列解析により、ペンタマイシン生合成遺伝子は染色体右末端に存在することが分かった。また、これらの生合成はプラスミド上のシグナル分子制御系とは独立していることが、シグナル分子合成酵素srrXとの二重破壊株解析により明らかとなった。本成果はJ. Antibiot.に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)に関してはPacBioシークエンサーによる解析を行ったことにより、染色体ゲノム構造の全体像を掴めることが出来た。(2)に関しては報文化を行い、さらなる生合成機構の解析を進めているところである。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度に当たる平成27年度には、上述の(1),(2)に加えて、(3)PQQモチーフを有する遺伝子の網羅的解析、(4)制御遺伝子変異株および染色体環状化変異株のメタボローム解析、を進める。(4)に関しては、プラスミド上の制御遺伝子および染色体線状構造維持を担う遺伝子の変異を施したところ、代謝産物に差異が認められたが、生産量が極微量であるため物質同定が困難であった。そこで(1)と有機的に組み合わせてgenome-inspired productとの比較も行っていく。
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