研究課題
基盤研究(C)
本研究は、ハマナス花弁由来加水分解性タンニンのアレルギー抑制作用効果をマスト細胞を用いたin vitro実験で明らかにすることを目的とする。1)ハマナス花弁加水分解性タンニンの単離・精製:ハマナス花弁から加水分解性タンニンとしてテリマグランジンI、テリマグランジンII(オイゲニイン)、カスアリクチンを単離・精製した。2ー1)加水分解性タンニンのヒスタミン放出抑制活性:ラット好塩基球由来細胞株(RBL-2H3)を抗原抗体反応により刺激して脱顆粒を誘導し、培養上清中に放出されるヒスタミンを逆相HPLC/蛍光検出で定量した。テリマグランジンIおよびテリマグランジンIIのヒスタミン放出抑制活性はほぼ同程度であり、20マイクロモル/Lで約50%抑制した。カスアリクチンは両者よりも弱い活性であった。これらの結果から、加水分解性タンニンのヘキサヒドロジフェノイル基がヒスタミン放出抑制活性に関与していることが示唆された。テリマグランジンIのヒスタミン放出抑制活性は、ケルセチンやエピガロカテキンガレートよりも有意に高かった。なお、テリマグランジンIの細胞毒性は100マイクロモル/Lまで認められなかった。2ー2)加水分解性タンニンのロイコトリエンB4放出抑制活性測定:マウス骨髄由来細胞株(PB-3c)をカルシウムイオノフォアにより刺激し、培養上清中に放出されるロイコトリエンB4を逆相HPLC/UV検出で定量した。テリマグランジンIはロイコトリエンB4放出を100マイクロモル/Lで約40%抑制した。
2: おおむね順調に進展している
本研究の目的は、ハマナス花弁由来加水分解性タンニンのアレルギー抑制作用効果をマスト細胞を用いたin vitro実験で明らかにすることであり、平成25年度の目標は、1)ハマナス花弁加水分解性タンニンの単離・精製および2)加水分解性タンニンのケミカルメディエーター放出抑制活性の評価である。達成度はおおむね順調であると判断される。
ハマナス花弁中にはテリマグランジンIが最も多く含まれること、ロイコトリエンB4放出に対しては抑制活性が低いことから、次年度以降はテリマグランジンIのヒスタミン放出抑制効果メカニズムの解明に絞って検討する方針である。
機器分析による消耗試薬を節約する工夫をしたこと、研究成果発表を行うための旅費を別予算から支出したことによる。細胞内シグナル伝達物質のより詳細な解析を行うための試薬購入に充てる予定である。
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