本研究の目的は、ハマナス花弁由来加水分解性タンニンのアレルギー抑制作用をマスト細胞を用いたin vitro実験で明らかにすることである。平成25年度の成果では、ハマナス花弁由来加水分解性タンニンがI型アレルギーの原因となるマスト細胞からのケミカルメディエーター(ヒスタミンおよびロイコトリエン)放出を抑制することを示した。また、平成26年度は、ハマナス花弁由来加水分解性タンニンの一つであるテリマグランジンIによるケミカルメディエーター放出抑制作用が、細胞内シグナル伝達物質のリン酸化抑制と細胞内カルシウムイオン濃度上昇抑制によるものであることを示した。 以上の結果を踏まえ、平成27年度は、テリマグランジンIによるI型アレルギー抑制作用の有効性の評価および作用機序の解明を進めた。その結果、テリマグランジンIのヒスタミン抑制活性は、市販のアレルギー抑制薬剤の活性よりも有意に高いことが明らかとなり、機能性食品として有用であることが示唆された。一方、テリマグランジンIのマスト細胞への吸収について、表面プラズモン共鳴による解析を試みたが、有意な成果は得られなかった。
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