本研究は2000年に起きた黄色ブドウ球菌エンテロトキシンに汚染された乳製品による大規模な食中毒事件の科学的な解明を目的とした。第一に、原乳に黄色ブドウ球菌を接種し、比較的高い温度(36-48℃)で保存した結果、事件と同じ40℃(または44℃)で保存した場合が、最も多くの毒素量を産生した。この温度は事件の起きた北海道の工場内の保管温度と等しかった。 第二に、乳、乳製品からの本毒素測定に対する公定法では煩雑で、時間がかかるため、より簡便で、低濃度の毒素を測定するための前処理法を開発した。すなわち、陽イオン交換体を用いたイオンクロマトグラフィーで簡便で感度の良い方法が開発できた。
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