研究課題/領域番号 |
25450169
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
末石 芳巳 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (50135935)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 抗酸化物質 / 相乗・相殺効果 / スピントラップ / 活性種消去 |
研究概要 |
研究計画では,平成25年度におこなう主な目的は次の事柄である。 (1)種々の活性ラジカル種発生装置の組み立て。 (2)トラップ法による様々な抗酸化物質の多重活性種消去能の評価法の構築。 予定通り,照射ランプを購入し,照射光の波長選択をおこない,活性種発生システムを構築し,6種類の様々な活性種の発生のための条件設定をおこなった。ここで構築した測定装置(システム)を用い,まず,様々な水溶性抗酸化物質による4種類の酸素中心ラジカル(ROS)の消去速度定数を決定し,活性種の違いによる抗酸化物質との反応性(反応機構)の違いを明らかにした。また,活性種からの脳の保護薬として知られているエダラボン(ラジカルカット)を用い,6種類の活性種の消去能を調べた。活性種と抗酸化物質との反応は,水素引き反応,酸化還元反応等,活性種の違いにより,反応機構も違うことを明らかにし,抗酸化能評価の際には,これまでおこなわれている1種類の活性種(アルコキシラジカル)を用いて,抗酸化能評価をおこなったのでは不十分であることを示した。特に,エダラボンの活性種消去能評価においては,これまで明らかにされていなかった様々な活性種の消去能を明らかにし,今後の医薬分野の大きな貢献をした。さらに,血液または細胞中に多く含まれている尿酸およびグルタチオン等の抗酸化物質の抗酸化能との比較もおこなっている。これらの結果は,すべて,多重活性種消去能決定法の有用性を示すものであり,早速,学術雑誌に投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度には,主な研究目的であった「トラップ法による様々な抗酸化物質の多重活性種消去能の評価法の構築」を概ねおこなうことができ,また,その研究成果もあげることができた。今後の研究の第一歩であり,更なる研究に進めることができるものである。
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今後の研究の推進方策 |
多重活性種消去能決定法(MULTIS法)の構築は,概ねおこなうことができたが,様々な活性種をさらに効率良く発生させるため,照射ランプ内のミラーの交換を検討している。装置ステムの改良をおこない,より正確な抗酸化能評価ができるよう計画している。 今後,MULTIS法により,2種類の抗酸化物質存在下での抗酸化能評価をおこない,相乗・相殺等の抗酸化物質の共存効果について研究を進める計画である。また,MULTIS法による食品サンプルへの応用についても検討を始めたい。当初の研究計画に変更はない。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品購入の際の値引き等のため,870円の残余金が生じた。少額であり,次年度の研究費と合わせて使用する計画である。 比較的少額であり,新たに,購入計画を変更することは出来ない。計画通り,今年度の費用と合わせて使用する計画である。
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