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2015 年度 実績報告書

様々な抗酸化物質の共存下での特異な活性種消去能(相乗・相殺効果)の解明

研究課題

研究課題/領域番号 25450169
研究機関岡山大学

研究代表者

末石 芳巳  岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (50135935)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード抗酸化物質 / 相乗・相殺効果 / スピントラップ / 活性種消去
研究実績の概要

平成27年度の研究計画としては,多重活性種消去能決定法を食品に応用し,消去能評価法の構築をおこなうことである。ローズマリー,シソ,およびバジル中に含まれる水溶性抗酸化物質を水により抽出し(80℃にて1時間加熱),5種類の活性酸素種の消去能を評価(定量化)した。ローズマリーから,水での抽出による水溶性抗酸化物質の活性種消去能としては,気温の低い時期に,過酸化ラジカルと一重項酸素の消去能が高いことがわかった。季節による消去能の違いは,抗酸化物質の含有量の季節による変化のためと思われる。ロズマリン酸,コーヒー酸,ルチン等の抗酸化物質による活性種消去能を調べたところ,水溶性抽出物としては,ロズマリン酸が主として作用していることがわかった。また,ロズマリン酸による活性種消去反応の機構を明らかにするため,ロズマリン酸の酸化還元電位をコーヒー酸等の様々な抗酸化物質と比較した結果,ヒドロキシルラジカル,アルコキシラジカル,過酸化ラジカルはいずれも水素引き抜き反応,スーパーオキサイドは酸化還元反応,一重項酸素は,電荷移動錯体を経由したエネルギー移動反応でることを明らかにした。
シソ,バジルの抗酸化能評価は,4か月間であるが,ローズマリーのように季節による抗酸化能の変化は観測できなかった。また,シソおよびバジルの抗酸化成分による酸素中心活性種の消去能はローズマリーの成分によるものの約20%程度であることがわかった。本研究では,MULTIS法による食品の抗酸化能評価法の有用性を充分に示すことができた。さらに,脂溶性の抗酸化物質による抗酸化能評価法の構築をおこなうなど,今後の展開に期待される。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Kinetic Evaluation of Spin Trapping Rate Constants of New CYPMPO-type Spin Traps for Superoxide and Other Free Radicals2015

    • 著者名/発表者名
      Y. Sueishi, E. Kamogawa, H. Nakamura, M. Ukai, M. Kunieda, T. Okada, M. Shimmei, and Y. Kotake
    • 雑誌名

      Z. Phys. Chem.

      巻: 229 ページ: 317-326

    • DOI

      10.1515/zpch-2014-0610

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] シソおよびバジル抽出液(水溶性および脂溶性成分) のESR 法による抗酸化能評価2015

    • 著者名/発表者名
      須江美里,末石芳巳
    • 学会等名
      2015年日本化学会中国四国支部大会
    • 発表場所
      岡山大学(岡山市)
    • 年月日
      2015-11-14 – 2015-11-15
  • [学会発表] ESRトラップ法を用いたフラボノイド類の抗酸化能評価およびその構造が及ぼす抗酸化能力への影響2015

    • 著者名/発表者名
      柿崎成,末石芳巳
    • 学会等名
      2015年日本化学会中国四国支部大会
    • 発表場所
      岡山大学(岡山市)
    • 年月日
      2015-11-14 – 2015-11-15
  • [学会発表] スピントラップ法によるローズマリー抽出液(水溶性および脂溶性性成分)の抗酸化能評価2015

    • 著者名/発表者名
      須江美里,末石芳巳
    • 学会等名
      第68回日本酸化ストレス学会学術集会
    • 発表場所
      かごしま県民センター(鹿児島市)
    • 年月日
      2015-06-11 – 2015-06-12
  • [学会発表] ESRスピントラップ法によるヒト血清の抗酸化物質における多重活性種消去能(MULTIS法)評価2015

    • 著者名/発表者名
      鴨川英莉沙,末石芳巳
    • 学会等名
      第68回日本酸化ストレス学会学術集会
    • 発表場所
      かごしま県民センター(鹿児島市)
    • 年月日
      2015-06-11 – 2015-06-12

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公開日: 2017-01-06  

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