研究実績の概要 |
食用および薬用とされる植物の高分子ポリフェノールについて精製単離、同定、構造決定を進め、以下に示す知見を得た。フトモモ科のFeijoa sellowianaから、これまでの検討と併せて、フラボノイド12種、カテキン類4種、プロアントシニジン3種、エラグ酸関連物質5種、単純フェノールカルボン酸等4種とともに16種の加水分解性タンニンを単離することができた。これらのうち加水分解性タンニンについては、1,2,3,6-tetra-O-galloyl-beta-D-glucose、1,2,3,4,6-penta-O-galloyl-beta-D-gluoseのようなガロタンニン、2,3-O-hexahydroxydiphenoyl-D-glucose、pedunculagin、tellimagrandin I、strictinin、isostrictinin、casuarictin、castalagin、vescalagin、1-O-galloylcastalagin、casuarinin、casuariinのようなエラジタンニンに加えて、acutissimin A、stenophyllanin A、stenophyllanin Cのような複合タンニンをも同定することができた。さらに、ギョリュウ科のTamarix属植物からは、新規エラジタンニンを得てその構造解明を進めるとともに、マンサク科、およびクスノキ科植物のタンニンについても検討を進め、抗生物質耐性菌に対する抗菌作用を認めた。また、ダビディア科植物からタンニンを得て口腔がん細胞に対する選択的な抗腫瘍作用を見出した。これらの他、人工タンニンの合成に関連して、新たなアシル基の導入をも達成した。
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