| 研究実績の概要 |
エジプト産のギョリュウ科植物、Tamarix aphyllaの虫エイ（虫こぶ）のタンニンについて精査を進めた結果、エラジタンニンモノマーのphyllagallin M1、ガロタンニンモノマーのphyllagallin M2、ガロタンニンダイマーのphyllagallin D2, D3, D4、ガロタンニンモノマーとエラジタンニンモノマーから構成されるガロ・エラジタンニン2量体のphyllagallin D1を、関連化合物とともに単離し、それらの構造を確立した。また、gallic acidの3量体構造を有するフラボガロン酸をも見いだしたが、このような結合様式のアシル基（フェノールカルボン酸）をギョリュウ科植物から見いだしたのは、これが初めてであった。さらに、Tamarix niloticaの葉からは、新規な3量体構造を持つnilotinin T2、同じく4量体構造を持つnilotinin Q1をも得てそれらの構造を確立した。他方、Tamarix tetrandraから誘導した培養シュートからは新規3量体のnilotinin T3を得てその構造をも確立した。こうした過程で得た各種タンニンについて抗腫瘍効果を検討した結果、加水分解性タンニン3量体のhirtellin T1、tamarixinin Bなどに口腔がん細胞に対し、正常細胞と比較して強い細胞毒性を示すことを見いだした。他方、ダビディア科のDavidia involucrataや、マンサク科のHamamelis intermediaなどのタンニンおよびタンニン画分にも細胞毒性を認めた。このように本研究によって高分子ポリフェノールの化学構造を新たに解明するとともに、それらの細胞毒性との関係を示す新たな知見が得られた。
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