研究課題/領域番号 |
25450171
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
加治屋 勝子 鹿児島大学, 農学部, 講師 (00379942)
|
研究分担者 |
岸 博子 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40359899)
小林 誠 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80225515)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 血管攣縮 / ミクロドメイン / コレステロール / 食品機能 |
研究概要 |
心筋梗塞や脳梗塞などの突然死の主因となる血管病は、我が国の死因の上位を占めており、解決すべき最重要課題である。特に、突然死の主因である血管攣縮(痙攣したように突発する血管の異常収縮)の原因分子として、我々はスフィンゴシルホスホリルコリン(SPC)を世界で初めて同定した。また、病的シグナル伝達にコレステロール及びコレステロールが限局的に蓄積した細胞膜上ミクロドメインが必要であることを世界で初めて発見した。一方、突発する致死的難病に対しては、発症後に作用する医薬品ではなく、異常収縮そのものを予防する事が重要である。我々は、多種類の天然物の中から、血管攣縮を予防可能な食品由来新規成分を発見した。本研究では、食品由来の新規成分による血管攣縮の予防メカニズムを解明するため、コレステロールが限局して蓄積した細胞膜上ミクロドメインに焦点を当て、膜ドメインのダイナミクス制御を解明することを目的とした。 平成25年度においては、電子顕微鏡を用いて膜ドメインを直接的に視覚化するため、以下の項目を実施した。 (1)細胞膜ミクロドメインは、コレステロールやスフィンゴ脂質を豊富に含む、細胞膜における情報交換の中心的な部位であり、その大きさや構成成分によって分類されている。膜ドメインのダイナミクス制御の全容解明を目指すには、ミクロドメインの形態および免疫電子染色による観察が必須である。そこで、透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、細胞膜ミクロドメインの一種であるカベオラ及び脂質ラフトの測定条件を最適化して観察したところ、細胞膜ミクロドメインの挙動解析に成功した。 (2)ミクロドメインのマーカー蛋白質を特異的にノックダウンする実験条件を検討し、高い効率でのノックダウンに成功した。さらに、コレステロール除去剤を用いたミクロドメイン構造の破壊実験についても詳細条件の最適化を行い、膜動態の観察に成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、食品由来の新規成分による血管攣縮の予防メカニズムを解明するため、コレステロールが限局して蓄積した細胞膜上ミクロドメインに焦点を当て、膜ドメインのダイナミクス制御を解明することを目的としており、研究代表者(加治屋)と研究分担者(岸、小林)が協力し合い、研究計画に沿って研究を遂行できている。具体的には、電子顕微鏡による細胞膜上ミクロドメインの視覚化に成功し、新たな知見を得る事ができた。また、次年度の研究計画として挙げていた免疫電子顕微鏡法による観察及び生きた血管平滑筋細胞を用いた膜ドメイン局在分子の解析についても着手している。以上の事より、本研究は概ね順調に進展していると評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
生きた血管平滑筋を用いて分子間相互作用を解析し、膜ダイナミクスへの影響を調べる必要がある。しかしながら、生きたまま細胞をセンサーチップに固定する方法は確立されていない。現在、測定温度やpH等の条件検討を行い、生きた細胞の安定した固定方法を模索し、再現性の高いデータ取得準備を進めている。
|