研究課題
最終(平成27)年度に実施した研究の成果:本研究は、紅茶の赤色色素であるテアフラビン類の生理機能の発現機構を解明するため、その物理化学的性質を解析することを目的とした。本年度は、テアフラビン類のリン脂質ミセルに対する親和性やリン脂質ミセルの物性に対する影響を解析する方法を確立し、その構造活性相関を見出すことができた。また、別途発表したテアフラビン類の生理機能の構造活性相関とよく一致していた。平成25年度と26年度に実施した研究の成果:テアフラビン類の酸化還元電位の測定に集中して研究を遂行し、原著論文を発表した。以下はその概略である。(1) クーロアレイ検出器を備えたHPLCによるカテキン類とテアフラビン類の酸化還元電位の評価を行う過程で、横軸に電位、縦軸に電気量をプロットする QP プロット法を提唱し、QPプロットのピーク電位から各物質の酸化還元電位を評価するプロトコールを開発した。(2) 以上の結果は、カテキン類、メチル化カテキン類、テアフラビン類に例外なく共通しており、酸化還元電位における構造活性相関を明らかにすることができた。(3) カテキン類やテアフラビン類に対して複数の抗酸化試験により得られた結果と本研究における特定の電位における電気量の間に強い相関が認められ、各抗酸化試験法は抗酸化物質が有する化学的性質のうち何を反映しているかを推測することができた。研究期間全体を通じて実施した研究の成果:リン脂質に対する親和性と酸化還元電位に物理化学的要素を分けて解析することにより、テアフラビン類の化学構造が生理機能に密接に関係することを明らかにした。これら二つの要素をまとめ、複数の学会で発表した。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
Journal of Nutritional Biochemistry
巻: 32 ページ: 107-114
10.1016/j.nutbio.2016.01.012