研究課題
本研究は、機能性食品成分の中でオリーブ葉ポリフェノールであるオレウロペインおよびその代謝産物であるヒドロキシチロソールを蛍光標識化し、その大腸癌細胞内での挙動を光学―電子線相関顕微観察法(以下CLEM法)で、詳細に観察できるようにするとともに、これらの成分の新たな機能性を明らかにしようとするものである。平成25年度には、ヒドロキシチロソールのフルオロセイン-4-イソチオシアネート(FITC)による蛍光標識化に着手し、それに成功した。平成26年度は、研究実施計画に基づき、以下の検討を実施した。まず第1に、オレウロペインおよびヒドロキシチロソールが、大腸癌モデル細胞であるCaco-2細胞の細胞死を誘導するメカニズムについての検討を行った。その結果、オートファジーの誘導が関与している可能性が示唆された。今後は、詳細な機能についての検討を実施していく予定である。第2に、FITC-ヒドロキシチロソールの細胞内動態についての検討を行った。具体的には、Caco-2細胞にFITC-ヒドロキシチロソールで処理後、細胞内小器官マーカーで染色した後に、固定処理を行い、共焦点レーザー顕微鏡で観察を行った。その結果、このFITC-ヒドロキシチロソールは、細胞内に取り込まれること、また細胞内において、核やミトコンドリアには局在せず、リソソームに一部局在することが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
平成26年度の実施計画で記載した項目については、そのすべてを実施して、ほぼ目標通りの結果を得ることができた。特に、FITC-ヒドロキシチロソールを用いた実験系が確立されたことは、今後の研究に大きな進展となったと判断している。
本年度の成果を踏まえて、平成27年度は、動的解析を実施する為に、生細胞イメージングを行っていくと同時にCLEM法を実施していく予定である。また、本年度が最終年度であるために、早期の論文化を目指す。
実験にあたって、効率的な予算執行ができたため。
培養細胞関連試薬を購入するとともに、顕微鏡関連消耗品の購入に充てる。
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日本食生活学会誌
巻: 25 ページ: 185-190
http://doi.org/10.2740/jisdh.25.185