研究課題
本研究では、機能性食品成分の中でオリーブ葉ポリフェノールであるオレウロペインの代謝産物であるヒドロキシチロソール(以下HT)に焦点を絞り、HTが大腸癌細胞に及ぼす影響について検討するとともに、この分子の蛍光標識化に着手し大腸癌細胞内での挙動を動的に追跡し、光学―電子線相関顕微鏡法(以下CLEM法)を用いた解析を行った。平成27年度は、まずHTが大腸癌モデル細胞であるCaco-2細胞のオートファジー機構に及ぼす影響についての検討を行った。その結果、HTを添加したCaco-2細胞ではオートファゴソームの形成に関わるLC3-Ⅰ、Ⅱの発現量の上昇、オートファゴソーム形成を負に制御する因子群の抑制が認められ、HTはオートファジーを誘導する可能性が推察された。しかし、HTによるLC3の発現量は、Bafilomycin A1を添加しても変化しなかった。以上より、HTは、オートファゴソームの形成を誘導するものの、リソソームとの融合を阻害し内容物の分解を阻害することで、結果的にオートファジー機構自体が抑制されていることが示唆された。次に、FITCで標識したHT(FITC-HT)を用いて、CLEM法を試みた。具体的には、カーボンコーティングデッシュにCaco-2を播種して、培養した後に、FITC-HTで24時間処理し、リソソームマーカー(LysoTracker Red)と反応させ、共焦点レーザー顕微鏡を用い、生細胞イメージングを行った。生細胞観察終了後、直ちに電子顕微鏡用の固定および包埋を行い、観察部位のみの透過型電子顕微鏡観察を実施した。その上で、共焦点レーザー顕微鏡画像と電子顕微鏡画像の重ね合わせを行った。その結果、プリミティブではあるが、リソソームに局在しているFITC-HTの画像を得ることができた。
日本食品工学会第62回大会(京都大学(京都府京都市))における発表山岸彩乃, 前田雪恵, 徳永洸貴, 藤田沙也, 辻井良政, 風見真千子, 鈴木司, 小林謙一, 高野克己, 山本祐司、「アルファ化米が肥満モデルZucker ratの脂質代謝に及ぼす影響」この演題が、日本食品科学工学会若手の会におけるポスター発表で優秀ポスター発表企業賞を受賞した。
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