糖化脂質は糖尿病患者に高蓄積し、これが糖尿病合併症を誘発する。疫学研究によって糖尿病患者は健常者よりも癌に罹りやすいことが示されている。本研究では、糖化脂質が癌の無限増殖に関与する酵素テロメラーゼを活性化させるメカニズムを調べることで、糖尿病と癌の関わりを解明することを目的とした。糖化脂質は酸化ストレスの誘発を介してMAPK経路を活性化し、これがc-MycとhTERTの発現を誘導してテロメラーゼを活性化することを明らかにした。糖化脂質によるテロメラーゼの活性化は、抗酸化物質であるα-トコフェロールを処理することで打ち消された。以上より、糖尿病と癌の関わりの一端に糖化脂質の関与が示唆された。
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