研究課題
本研究では、食品タンパク質抗原の経皮感作を評価しうる動物実験系を構築し、どのような食品タンパク質が経皮感作されやすいのかという点や、経皮感作のメカニズムなどをマウスを用いて明らかにすることを目的とした。食品タンパク質としては、植物性食品タンパク質を主たる研究対象としている。剃毛し、テープで皮膚バリアを壊したマウスの皮膚に大豆抽出液をハケで塗布することにより、より高頻度で経皮感作を成立させることが出来た。また血清中の大豆特異的IgE値もこれまでの方法よりも安定して高く、実験系として確立することができた。大豆抽出液をマウス皮膚に塗布し、経皮感作を引き起こしたところ、大豆タンパク質に対するIgEが高値となったことから、経皮的に大豆タンパク質が認識され、特異的なIgE抗体が産生されたことが明らかとなった。大豆中のどのようなタンパク質に対するIgE抗体が産生されたのか、単離された主要アレルゲンなどを用いたウエスタンブロッティングやELISAにて検証したところ、7Sグロブリン(β-コングリシニン:Gly m5)に対する抗体が主に産生したことが明らかとなった。しかし、単離して尿素にて変性させた7Sグロブリン(β-コングリシニン:Gly m5)に対しては、抗体の産生は見られなかった。このことから、食品タンパク質の存在形態や共存物が、経皮感作能に影響しうることが明らかとなった。大豆以外にも経皮感作しうる植物汎アレルゲンとして、サクランボのソーマチンライクプロテインが考えられた。さらにこれらの汎アレルゲンは植物がカビ被害を受けた時に増加することが示唆された。
すべて 2015
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アレルギーの臨床
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