研究課題/領域番号 |
25450188
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 大阪青山大学 |
研究代表者 |
奥 和之 大阪青山大学, 健康科学部, 教授 (40549797)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | トレハロース / トレハロース誘導体 / 疎水性アミノ酸 / タンパク質凝集抑制 / 核磁気共鳴分析法 / 分子動力学法 |
研究概要 |
トレハロースがもつ「水との相互作用の特異性」の解明と、トレハロース‐タンパク質・アミノ酸間相互作用の新しい描像を示すため、トレハロースおよびトレハロース誘導体と各種アミノ酸との相互作用について、核磁気共鳴分析法(NMR法)により相互作用のい確認、作用部位の特定を行った。トレハロースと含硫アミノ酸(メチオニン、システイン)の等モル混合溶液を二次元NMR(NOESY)に供したところ、トレハロースプロトンと含硫アミノ酸プロトン間に明確な相関信号(NOE)が検出され、トレハロースと含硫アミノ酸が直接相互作用・錯体形成していることが確認された。その作用がトレハロース構造に起因するのかを確認するため、トレハロースの6位が酸化された酸化トレハロース、同じく6位に脂肪酸が結合したアシル化トレハロースを現在調製中である。 トレハロースと含硫アミノ酸が直接相互作用するには、トレハロース分子‐水分子。アミノ酸分子‐水分子の水和ペナルティーを超えてトレハロース‐含硫アミノ酸間の相互作用・結合を構築する必要がある。次に、計算シミュレーションプログラムChemBio3DおよびGromacsを使用してトレハロース1分子と含硫アミノ酸1分子の分子動力学法によるシミュレーション(水1000分子存在下)を行ったところ、トレハロースの疎水性ポケットがアミノ酸と錯体形成に作用していることがわかった。これはトレハロースの生体構成成分の保護・安定化効果、特にタンパク質凝集抑制効果の解明に必要な結果である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
トレハロースと含硫アミノ酸(メチオニン、システイン)との錯体形成・相互作用を物理化学的手法と理論科学的手法の双方で確認することができた。その他のアミノ酸(疎水性アミノ酸、親水性アミノ酸など)との相互作用解析についての解析が残っている。一方、トレハロース誘導体について、酸化トレハロースはTEMPO反応処理は終了したが生成物純度が低く、カラム分画による精製(純度up)を予定している。アシル化トレハロースについては市販リパーゼによる転移反応条件の設定が難しく、合成を断念し市販試薬(トレハロース‐脂肪酸エステル)を購入することとした。
|
今後の研究の推進方策 |
トレハロースおよびトレハロース誘導体と疎水性アミノ酸などとの相互作用について、二次元NMR(NOESY)による解析、分子動力学シミュレーションによる相互作用解析を継続して行う。タンパク質凝集モデルとして、フェニルアラニンが3つ以上結合したβ‐アミロイドモデルペプチド、グルタミンが3つ以上結合したポリグルタミンモデルペプチドを合成し(業者に依頼)、東工大櫻井教授ご指導のもと、水晶発振子マイクロバランス法(QCM法)によるトレハロースおよびトレハロース誘導体のタンパク質凝集抑制効果について検証する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
トレハロース誘導体のうち、酸化トレハロースは調製反応は終了したが、純度が低かったため純度upのためのの調製(カラム分画)必要となったため。 トレハロースと他のアミノ酸(疎水性アミノ酸、親水性アミノ酸など)との相互作用解析の材料費として必要のため。 NMR解析用試薬類、実験器具代(約100千円)、分子動力学プログラムGromacs起動用プログラム(Winmostar)(40千円)、ペプチド合成費用(約400千円)、トレハロース誘導体合成用費用など(約300千円)、学会参加のための旅費など(約150千円)
|