研究課題/領域番号 |
25450191
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
高杉 美佳子 九州産業大学, 工学部, 准教授 (60305802)
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研究分担者 |
山田 耕路 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (60158186)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | タンニン / IgE / アレルギー |
研究概要 |
IgE産生型ヒト由来B細胞株 (U266) を用い、まず、加水分解性タンニンの細胞毒性を検討した。その結果、加水分解性タンニンであるテリマグランジンI、テリマグランジンII、カスアリクチンは終濃度100 uMにおいて、培養5時間まで細胞毒性を示さないことを明らかにした。 次にU266に終濃度100 uMのテリマグランジンI、テリマグランジンII、カスアリクチンを添加して0~5時間培養し、培養上清中のIgE をELISAで定量した。その結果、添加した加水分解性タンニン類は培養3および5時間後に顕著なIgE産生抑制作用を示し、その効果は、テリマグランジンII>カスアリクチン>テリマグランジンIIの順であった。さらに、最もIgE産生抑制作用が認められたテリマグランジンIIを終濃度0、25、50、100 uMで添加し、濃度依存性を調べた結果、培養3および5時間後から濃度依存的にIgE産生を抑制することが明らかとなった。 天然物からの分離・精製が困難である1, 2, 3-トリガロイルグルコースは、グルコースの4, 6位および没食子酸のフェノール性水酸基に対応した保護基を導入し、これらを結合させた後に保護基を除去する方法で合成を試みた。保護基付グルコース、保護基付没食子酸および保護基付1, 2, 3-トリガロイルグルコースの合成ができていることをそれぞれ1H-NMRで確認した。さらに、保護基付1, 2, 3-トリガロイルグルコースの脱保護を試みたところ、没食子酸とグルコースの加水分解が起こり、目的物は得られなかった。現在、脱保護の条件検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
天然物由来加水分解性タンニン類のIgE産生抑制作用の検討は概ね、予定通りに進んでいるが、1, 2, 3-ガロイルタンニンの合成は、最適な脱保護の方法を検討中であり、目的物質の合成にまではいたっていない。
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今後の研究の推進方策 |
天然物由来の加水分解性タンニンについては、ペンタガロイルグルコースおよびストリクチニンのIgE産生調節作用も検討し、濃度依存性を確認する。また、IgE産生抑制作用が認められた加水分解性タンニンについてはmRNAの発現レベルに及ぼす影響を検討し、作用メカニズムを明らかにする。 1, 2, 3-ガロイルタンニンを脱保護し、構造が類似しているストリクチニンとIgE産生抑制活性を比較し、構造活性相関を明らかにするとともに、1, 4, 6-トリガロイルグルコースの合成も試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
ガロイルタンニンの合成が予定より遅れているため、次年度使用額が生じた。 ガロイルタンニンの脱保護に関する最適条件の検討実験に使用する。
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