グルコースにガロイル基1個とヘキサヒドロジフェノイル (HDDP) 基1個が結合したストリクチニン、ガロイル基2個とHDDP基1個が結合したテリマグランジンI、ガロイル基3個とHDDP基1個が結合したテリマグランジンII、ガロイル基1個とHDDP基2個が結合したカスアリクチン、ガロイル基5個が結合したペンタガロイルグルコースのIgE産生抑制作用を調べた。 IgE産生型ヒト由来B細胞株 (U266) にサンプルを0~100 uM添加し、3時間後の培養上清中のIgE量をELISAで測定した。100 uMストリクチニンおよびペンタガロイルグルコースはIgE産生を約20~30%抑制し、テリマグランジンおよびカスアリクチンは約40%抑制した。テリマグランジンIIは60 ~100 uMでIgE産生を約50%に抑制しており、最も強いIgE産生抑制効果を示した。これらの結果は、IgE産生抑制活性の発現には、分子内にガロイル基が4個相当あることが望ましく、グルコース1位の炭素に結合したガロイル基、4位-6位間のHDDP基も抑制活性の発現に関与していることを示唆している。 これらのサンプルのIgE産生抑制作用がmRNAの発現抑制によるものかの検討を試みた。サンプル存在下でU266を3時間培養後、細胞を回収し、トータルトータルRNAの抽出・cDNAの合成を行い、リアルタイムPCRでmRNAの発現量を調べた。しかしながら、サンプル存在下におけるmRNAの発現量には顕著な傾向が認められなかった。今後は、培養1~2時間後のmRNA発現量を調べるとともに、IgEの合成・放出に及ぼす影響についても検討する必要がある。
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