研究課題/領域番号 |
25450195
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
佐々木 朋子 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品機能研究領域, 主任研究員 (10353939)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 澱粉 / 酵素分解性 / 非澱粉性多糖類 |
研究概要 |
今年度は、食後の血糖値上昇を緩やかにするような「ゆっくり消化される澱粉」の増強を目指し、澱粉の酵素分解性を抑制する共存成分の探索を行った。すでに数種類の多糖類が澱粉の酵素分解性を顕著に抑制し、その中でもキサンタンガムが最も高い抑制効果をもつことを明らかにしているが、新たに水溶液にした際に粘度の異なるβ-グルカン、アラビノキシラン、ガラクトマンナンを馬鈴薯澱粉に添加し、澱粉の酵素分解性を解析した結果、いずれの多糖類についても酵素分解性に対する抑制効果は認められなかった。さらに、水晶振動子マイクロバランスを用いて馬鈴薯澱粉に相互作用で吸着することが確認できたポリリジンを澱粉に添加し、酵素分解性を解析したが、やはり抑制効果は認められなかった。そこですでに抑制効果が確認できている多糖類について、数種類の馬鈴薯澱粉の生澱粉と急速に消化される糊化澱粉に添加し、澱粉の酵素分解性を評価した。その結果多糖類の酵素分解性に対する抑制効果は、他の穀類澱粉に比べて馬鈴薯澱粉を用いた時に増強されることが明らかになり、さらに馬鈴薯澱粉の種類によって、その抑制効果の程度が異なることが確認できた。 多糖類の中で抑制効果の高かったキサンタンガムとグアガムを使って、2種類の多糖類を併用した場合の酵素分解性を評価したところ、多糖類として澱粉に対してキサンタンガムおよびグアガムを単独で同じ濃度で添加した時よりも抑制効果が低下する傾向が見られた。水晶振動子マイクロバランスを用いた澱粉との相互作用の解析から、キサンタンガムは澱粉に吸着し、グアガムは吸着しない現象を確認していることから、キサンタンガムとグアガムでは澱粉の酵素分解性に対する制御機構が異なるために、併用することによって抑制効果が低下したと考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
澱粉の酵素分解性を抑制する共存成分の探索を行い、抑制効果をもつ新たな成分は見いだせなかったが、すでに抑制効果をもつ多糖類について、その抑制効果が澱粉の種類によって変動し、さらに2種類の多糖類を併用することによってその効果が低下することを明らかにできたことから、当初の研究実施計画はおおむね順調に進展していると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度は澱粉の酵素分解性に対して抑制効果をもつ新たな共存成分を見いだせなかったが、今後も引き続き多糖類以外の共存成分にも着目し、探索を行う予定である。さらに、抑制効果をもつ成分についてはその制御機構の解明も行う予定である。
|