研究課題
当研究では、3-モノクロロプロパンジオール(MCPD)の異性体、2-MCPDとその脂肪酸エステルを異性体別に新規合成し、摂食後の体内動態を推定することを試みた。その結果、膵リパーゼの作用を受け、2-MCPDジエステルは1位に結合した脂肪酸が分解され遊離体になるのに対し、3-MCPD脂肪酸ジエステルは2位に結合した脂肪酸が分解されにくく、2-アシル3-MCPDとして小腸に達することが明らかになった。パンクレアチンを用いても同様の結果が得られた。次に、小腸上皮細胞モデルを用いたin vitro吸収性評価では、代謝中間体である2-アシル-3-MCPDが小腸上皮細胞の分泌する酵素の作用により遊離体に分解され、2-MCPDジエステルと同様、遊離型MCPDに変換されることが示唆された。さらに遊離型2-および3-MCPDは、非選択的、非能動的に拡散吸収されることも推定された。一方、エステル型MCPDの吸収はin vitro吸収性評価では検出できなかった。さらに、in vivo吸収性評価試験でもin vitro試験結果を支持する結果が得られた。また、当研究者らはMCPD定量分析法中のアルカリ・酸処理過程においてpH依存的な両化合物の相互変換によって3-MCPDとグリシドールが混同して検出されることも解明してきた。そこで、胃酸によるpHの影響を、空腹時胃酸模擬液を用いてモニターしたところ、グリシドールは主にモノアシルグリセロールに変換されることを確認した。しかし、満腹時胃酸模擬液中でこの変化は認められなかった。
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