研究課題
千葉大学実験圃場で樹木稚樹の形態と生理の測定を行い,機能的・構造的植物モデルの基礎情報を取得した。機能的・構造的植物モデル(FSPM)の基礎となる樹木構造の動的発達モデルの構築のため,暖温帯林の広葉樹4種(スダジイ,ヤブニッケイ,タブノキ,シロダモ)の被陰された稚樹の形態を測定した。また,上記の暖温帯林広葉樹4種の既存の一次枝の成長に間する次の2つを応答変数とする解析を行った:1)既存の一次枝が成長するのか否か(成長の有無),2)成長するとしたらどの程度成長するのか(成長量)。それぞれの解析で,一次枝の相対的な高さ・一次枝の齢・一次枝の角度・一次枝の光環境・個体の光環境を説明変数として用いた。光学的機器を使用して簡易に葉の窒素含量・クロロフィル含量が測定できる技術を開発し,窒素含量・クロロフィル含量が葉齢と季節にともなって変化する仕方を解明した。さらに、蒸散速度を計測する樹液流センサーを作成し、千葉大学実験圃場の稚樹で測定を開始した(測定継続中)。樹液流センサーの測定値は,FSPMによるモデル推定値の検証データとなる。また,FSPMで使用するサブモデルのうち、光合成速度(葉齢・季節によって変化する光-光合成曲線)をモデル化した。
2: おおむね順調に進展している
樹木構造のモデルの基礎がモデル化できた。モデル化できたものは,常緑広葉樹4種の樹形,一次枝の成長,クロロフィル含量と窒素含量の葉齢と季節に対応した変化,葉齢・季節・光強度に対応した光合成速度である。これらを統合して機能的・構造的植物モデル(FSPM)を作成する。FSPMを検証するためのデータ(個体蒸散速度)も蓄積しつつある。しかし,過去のデータを使用した機能的・構造的植物モデルパラメータの整備が若干遅れている。
光合成モデル・気孔コンダクタンスモデル・葉のエネルギー収支モデルを統合し,これまでに作成した機能的・構造的植物モデルに組込む。また,幹熱収支の樹液流センサーを用いた個体蒸散速度の測定を継続し,得られたデータを作成したモデルを検証するために使用する。また,暖温帯林の広葉樹4種(スダジイ,ヤブニッケイ,タブノキ,シロダモ)で測定した葉の窒素含量を解析し,窒素利用・分配・収支をモデル化する。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 1件)
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