研究課題/領域番号 |
25450215
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
藤掛 一郎 宮崎大学, 農学部, 教授 (90243071)
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研究分担者 |
大塚 生美 (財)林業経済研究所, 研究部, 研究員 (00470112)
田村 和也 独立行政法人森林総合研究所, 林業経営・政策研究領域, 主任研究員 (80353770)
大地 俊介 宮崎大学, 農学部, 助教 (90515701)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 農林業センサス / ミクロデータ / 林業経営 / 林業構造 |
研究概要 |
本研究は、2005年及び2010年農林業センサスの個票データ(ミクロデータ)を入手し、分析することで、持続可能な林業構造の確立に向けた議論に実証的知見を提供しようとするものである。初めて林業経営体に対するセンサスのミクロデータを分析することで、林業経営体の経営行動をこれまでより詳細に捉えることを意図している。 研究初年度であったH25年度には、1)既存のセンサスを用いた林業経営体分析のレビューを行い、それに基づいて、本研究の方向性また、分析の分担について整理した。また、2)農林水産省統計部に統計法第33条2項に基づく調査票情報提供の申請を行い、必要なデータを入手した。 1)では、主に最新の分析をまとめた、興梠克久編著、日本林業の構造変化と林業経営体:2010年林業センサス分析、日本林業調査会、2013年、のレビューを行った。この文献は、センサスが現在の林業経営体を対象とする調査となった2005年と2010年の公表結果をデータとし分析を行っていた。レビューにより、2005年から2010年への調査経営体数の大幅な減少がこの間の経営行動の変化を捉えるのを困難にしていることや、森林保有主体か否かなどの基準で経営体を区分した上での分析が公表データでは困難であることなどが明らかとなった。本研究で取り組もうとするミクロデータの分析では、これら公表データによる分析の限界を乗り越えることが課題となることを確認した。 2)では、次の二点に留意して、データの入手を行った。第一に、2005年から2010年への変化を明快に捉えるために両年のデータを接続しパネル化することができるようにした。第二に、経営体の一部について名称情報を入手し、森林組合と生産森林組合など公表データでは不可能な経営形態の区分を行うことができるようにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、分析課題の設定及び分析分担の決定を行い、その上で申請を行って個票データを入手することを計画していたが、ほぼその計画通りに進め、初年度を終えることができた。分析の課題や分担は、研究レビューを踏まえ、データ申請に合わせ議論を重ね、明らかにすることができた。データ入手は、実績の概要で述べたとおり、パネル化可能な形で、かつ公表データより詳細に経営形態を把握できる形で行うことができ、当初望んでいたとおりに提供を受けることができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究の中間年となるH26年度は、初年度に入手したデータの分析を本格的に行うことを目的とする。データのパネル化等の処理を行った上で、決定した分担に応じてデータを共有し、それぞれの分担のもと分析を進める。分析を円滑、効率的に進めるため、始めのデータ共有時及び、分析の途中、各分析課題のとりまとめ時にそれぞれ打合せ、成果報告会を行い、情報の共有、意見交換を行うこととする。 研究の最終年となるH27年度は、全体のとりまとめに向けて各分担の成果の共有、追加的な分析、特に全体貫通的な分析を行い、最終的に成果の取りまとめ、公表を行う。また、個票データの活用が今回限りに終わらないように、農林業センサスを分析する体制の整備や方法論についてもまとめることとする。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度の予算の中で、入手したデータの分析に用いる統計ソフト(92190円)を購入した。その際、必要な処理スピードを確保できるようソフトのスペックを決めることとしたが、データ量等について検討した結果、当初予定したよりも低スペックのものでよいと判断し、予算節約の結果、次年度使用額が生じた。 次年度は、まず、データをセキュアに保管するSSDドライブ等を購入し、研究分担者間でのデータ共有を行わなければならないので、次年度使用額はそれに宛て、効果的に使用することとする。
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