研究課題/領域番号 |
25450226
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
大西 尚樹 独立行政法人森林総合研究所, 東北支所, 主任研究員 (00353615)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | メタ個体群 / 小型哺乳類 |
研究概要 |
本研究は北海道に生息するエゾナキウサギのメタ個体群の維持プロセスを解明することが目的である。5年間を通じて生息状況調査、捕獲調査と遺伝解析を行い、個体群動態、局所個体群間の移動、遺伝構造の変化を年および季節毎に解析し、さらにGIS(地理情報システム)を用いて、個体の移動に影響する環境要因を明らかにする。 ナキウサギが生息地として利用する岩塊堆積地は森林内にパッチ状に点在している。各岩塊堆積地における個体数は季節によって増減し、また短期的な絶滅と近接する岩塊堆積地からの移入による再生を繰り返していることから、岩塊堆積地を局所個体群とみなすことができる。 初年度となった今年は北海道内の北見・大雪山系の針広混交林においてアクセスがよくメタ個体群構造を取っていると考えられる生息地を春に探し、大小28の岩塊堆積地からなる固定調査地を設定した。秋に貯植物や糞などを根拠に生息調査を行ったところ7カ所の岩塊堆積地でナキウサギの生息が確認された。 夏に大雪山系においても生息調査を行ったところ、例年より貯食や糞が少なく、また、アマチュアカメラマンらに聞き込みをしたところ、目撃頻度が非常に少なかった。小型哺乳類では個体群密度が年ごとに変動することが一般的で有り、今年は低密度の年だったと考えられる。固定調査地においても生息が確認された岩塊堆積地は前年の予備調査よりも少なく、メタ個体群全体で生息密度が低かったと考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は固定調査地の設定と遺伝解析への着手を計画しており、固定調査地は設定された。 遺伝解析は糞サンプルは回収しているが、解析機器のスケジュールにより進んでいない。 しかし、2年目に予定していた捕獲調査の予備調査を行えたことで、全体としてはおおむね順調に進展していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
2年目となる今年は固定調査地で生息状況調査に加え、捕獲調査を行い個体数の推定および個体の動きを追跡する。 捕獲個体の体組織を捕獲時に採集し、遺伝調査に着手する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
予定していた遺伝子調査が使用機器のスケジュールのため実行できなかった。そのため、遺伝子調査に掛かる費用が未執行となった。 1年遅れてしまった遺伝子調査を行う。
|