10月に固定調査地における生息調査を行った。生息可能パッチ16カ所の内、14カ所で生息が確認できた。内訳は自動撮影カメラによる目撃2カ所、鳴き声の確認2カ所であり、また全14カ所で貯食が確認された。2013年には生息が確認されたのは最少の15カ所だったが、2015年に全16カ所で確認され、2016年、2017年と14カ所で確認された。このことから、ナキウサギの生息数は年ごとの変動があり、2015年は個体数がピークだったことが示唆された。 カゴワナを4個×3晩設置した。捕獲用の誘因エサとして、バナナ、サツマイモ、周辺の草本を用いたが捕獲には至らなかった。カゴワナの横に自動撮影カメラを設置し、ナキウサギの動きを観察したが、ナキウサギはワナや誘因餌に興味を示す様子は無かった。 過去に回収した糞を用いてDNAを抽出し、次世代シーケンサーを用いてゲノム解析を行った。その結果、約1000のマイクロサテライトDNA領域を確認した。この内、30遺伝子座を選んでPCR用のプライマーを設計し、およそ半数でPCRに成功した。 個体数変動の傾向があることがわかったことから、今後もモニタリングを進めていく必要性が示唆された。また、捕獲方法についても検討を進めていく必要がある。
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