研究課題/領域番号 |
25450232
|
研究機関 | 山梨県森林総合研究所 |
研究代表者 |
大澤 正嗣 山梨県森林総合研究所, その他部局等, その他 (80359249)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 生活史 / 個体数変動 / 産卵数 / 死亡率 / 生存率 / 潜葉性害虫 |
研究実績の概要 |
ヤノナミガタチビタマムシの発生個体数の年次変動に影響を与える環境要因について引き続き調査を行った。被害林内にトラップを仕掛けて、本害虫を捕獲し、本年度の発生頭数を把握した。本年も害虫の発生が多く、本害虫による被害は激しく、調査林のケヤキはほぼ全ての葉を失った。 早期落葉した葉を持ち帰り、乾燥区と加湿区を作成し、成虫の発生頭数を比較した。その結果、乾燥区では加湿区に比べ、成虫の発生頭数が有意に多かった。加湿区では蛹の段階で多くが死亡していた。また早期落葉を異なる温度条件下に置いた所、27.5℃で成虫の発生数が有意に少なかった。 飼育瓶内で本害虫を13ペア飼育し、産卵数を調査した。飼育方法を改良して調査を行ったところ、平均49個(25~74個)の産卵があり、これは昨年の2倍の産卵数であった。 野外で産卵直後の卵661個に印を付け、継続的にその後の成長を観察した。早期落葉が起こる前に調査している枝に網をかけ、落葉した葉を持ち帰り、シャーレ内で成虫の発生を観察した。また、別試験として、早期落葉を落葉直後に持ち帰り、中の幼虫を取り出し、シャーレ内に置き、幼虫が蛹、成虫へと変化する日数を観察した。その結果、卵、幼虫、蛹、脱出前成虫の期間が明らかとなった。 また、それぞれの生育段階における死亡率も把握した。卵と蛹で1日当たりの死亡率が高い結果となった。それぞれの生育段階の死亡率を総合すると、1ペアから8頭の次世代成虫が出現することになり、これまで調べられているチョウ目(アゲハチョウ、アメリカシロヒトリ、トウヒノシントメハマキガ)等と比較して、生存率が大変高いことが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はおおよそ当初の予定どおり進行した。野外調査等で一部予定どおり進まなかったものもあったが、当初予定していなかった調査も行うことができた。このため、「(2)おおむね順調に進展している」と評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
本害虫の調査林にて、これまで行ってきた頭数変動の調査を行う。その変動と環境要因の関係の調査を継続する。また、実験室内で、加湿状態で死亡率が高まる原因について調査する。26年度に行えなかった野外における防除試験を実施する。幼虫の潜葉と早期落葉の関係についてさらに調査を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
「その他」に、IUFRO国際大会の参加費を計上していたが、参加費は前年平成25年度に支払ったため。 また、「消耗品」が、平成25年度に購入したものに残余があり、それを使用することができたため。
|
次年度使用額の使用計画 |
「次年度使用額」は、旅費に使用する予定(森林学会及び生態学会に参加予定)。物品費、賃金については当初の予定どおり使用する。 旅費(森林学会、生態学会参加):30,000円+46,860円(次年度使用額); 物品費(野外調査用品、飼育用品等):93,000円; 賃金(試験研究補助のための人件費):677,000円
|