セルロースの構造は、結晶領域と非結晶領域に大別される。セルロース材料の物性は、非結晶領域中での分子凝集状態に起因する水素結合の影響を受けやすい。このような非結晶領域を対象とした研究は、純粋なセルロースの非結晶領域中では水素結合が複雑に形成されているため、解析手法が乏しく、あまり進んでいない。そこで、本研究課題では、水素結合形成が制御された2種類の位置選択的置換メチルセルロースと、報告者独自の解析手法である気相重水素化二次元赤外法を用いて、非結晶領域中での分子凝集状態を明らかにし、赤外スペクトル上での水素結合の検出と帰属を行った。
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