研究課題/領域番号 |
25450253
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
木口 実 独立行政法人森林総合研究所, 研究コーディネータ, 木質バイオマス利用研究担当 (50353660)
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研究分担者 |
高橋 時市郎 東京電機大学, 未来科学部情報メディア学科, 教授 (50366390)
片岡 厚 独立行政法人森林総合研究所, 木材改質研究領域, 室長 (80353639)
森谷 友昭 東京電機大学, 未来科学部情報メディア学科, 助教 (90589805)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 木材 / 屋外暴露 / 耐候性 / 変色 / アメダス / 重回帰 / 劣化シミュレーション |
研究実績の概要 |
本研究では、実際に様々な劣化環境で木材を暴露し、またこれまでの暴露データを利用して木材表面の劣化現象を気温や日射量、降水量等の劣化因子との関係を明らかにし、更に風向きや日射角度、雨掛かり等を反映させたプログラムを開発して劣化環境から木材の経年変化をシミュレーションする手法を開発しようとするものである。当該年度は、屋外暴露試験を継続し、暴露試験体周辺での微気象データの収集ととりまとめを行う。また、気象劣化した木材表面の変色と気象データとの相関性を検討した。 成果の具体的内容として、①色変化シミュレーションのための暴露試験では、つくば市にある森林総研第2樹木園内屋外暴露施設に設置した、東西南北の4面に暴露できる暴露架台において、暴露試験片を下から50cm、1m、1.5m程度の位置に暴露し、方位の影響と軒の影響が評価できる試験を継続した。暴露1年後の無処理、熱処理、塗装処理した試験片の色調変化データ(L*,a*,b*)をとりまとめた。無処理及び熱処理木材は、暴露開始後1~2ヶ月で明度(L*値)が増加し退色化が見られたが、その後明度が低下して暗色化する傾向を示した。②シミュレーションソフトへのデータ統合においては、南面垂直屋外暴露した無処理及び熱処理木材試片表面のL*,a*,b*を経時的に測定し、これと暴露地に最も近いアメダス観測地点である舘野の気象データ(平均気温、降水量、全天日射量)の各累積値との重回帰分析を行い回帰式を得た。L値が最大になる地点(暴露1~2ヶ月後)の前後でそれぞれ回帰式を作成した結果、相関係数が0.9以上の高い相関性を持ってL*,a*,b*共に気象データによる回帰式が得られた。これにより、暴露1年目までにおいてこれまでの気象データを入力することで暴露した木材表面の色調をシミュレーションすることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
試験計画では、平成26年度までの気象データの収集とこれを用いた表面変色との回帰分析を行うこと、また木材表面の劣化状態を再現するCG処理プログラムの開発とこれへの色調変化の回帰式を導入することにより気象データから木材の変色をシミュレーションすることである。気象データと木材表面の変色については、暴露1年において重回帰分析により気温、日射量、降水量の累積値により表面色をシミュレーションすることに成功した。この回帰式をコンピュータグラフィックスのプログラムに導入することで、木材表面の経時劣化をグラフィック化できるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
H26では暴露期間が1年目までのデータによる木材の表面色の変化をシミュレーションすることに成功したが、まだ変色が進行している。そのため、木材の変色が落ち着くと考えられる暴露2年までのデータを用いて、より正確は経時劣化シミュレーションを行う。同時に、経時変化の可視化のためのCGプログラムの高度化を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
成果の発表を予定していた国際学会に都合により出席できなくなったため、海外旅費が未使用となった。また、購入を予定していたデータロガー及び日射セルの価格が予定より安価となったためこの分が未使用となった。
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次年度使用額の使用計画 |
研究の最終年度となる平成27年度に、成果の発表のため海外での発表を行う。また、この分野で関係のある海外の研究機関を訪問し、開発したシミュレーションソフト及びCGプログラムについて意見交換を行う予定。また、暴露試験においてより正確な微気象の測定を行うためのセンサーを追加購入する。
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