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2015 年度 実施状況報告書

木質複合材料実大材のクリープ破壊に及ぼす水分の影響の解明と予測

研究課題

研究課題/領域番号 25450254
研究機関宇都宮大学

研究代表者

中島 史郎  宇都宮大学, 地域連携教育研究センター, 教授 (00344010)

研究分担者 中川 貴文  国土技術政策総合研究所, その他部局等, 主任研究官 (60414968)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード実大材 / クリープ破壊 / 製材 / 構造用単板積層材 / 標準状態 / 湿度変動下 / 粘弾性モデル / 個別要素法
研究実績の概要

構造用単板積層材(寸法105×105×2200mm、日本農林規格に定めるB種、60E相当)を試験体として、標準状態(温度20℃,湿度65%)と乾湿繰り返し環境下(①20℃,RH65%[10時間]、②20℃,RH65%→20℃,RH90%[2時間]、③20℃,RH90%[10時間]、④20℃,RH90%→20℃,RH65%[2時間]、以下①から④の繰り返し)において長期荷重載荷試験を継続して実施し、試験体のクリープ変形量と試験体がクリープ破壊するまでの時間を測定した。なお、載荷した荷重は最大荷重の70%と90%とした。
また、製材(寸法105×105×2200mm、スギ材)を試験体として、標準状態と乾湿繰り返し環境下において長期荷重載荷試験を開始し、試験体のクリープ変形量と試験体がクリープ破壊するまでの時間を測定した。なお、載荷した荷重は最大荷重の80%とした。
試験の結果、構造用単板積層材と製材ともに相対クリープ変形は、乾湿繰り返し環境下において試験を行った試験体の方が恒湿環境下において試験を行った試験体よりも大きくなることを確認した。また、試験体がクリープ破壊に至る時間は、乾湿繰り返し環境下において試験を行った試験体の方が短くなことを確認した。さらに、クリープ変形やクリープ破壊に及ぼす乾湿繰り返しの影響に関して、実大材は無欠点小試験片に比べてその影響が少ないという知見を得た。実大材のクリープ破壊に及ぼす湿度変化の影響が無欠点小試験体に比べて小さくなるという知見は、実大材のクリープ破壊を評価する上で重要な知見である。
一方、実大材がクリープ破壊に至る時間を算定するために、前年度に作成した材を構成する要素に対するモデルを用いて材全体をモデル化し、要素のクリープ破壊が蓄積して材全体がクリープ破壊に至る過程を個別要素法を用いて予測する方法について検討した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の予定では標準状態及び湿度変動下における長期継続荷重載荷試験を平成26年8月頃より開始する予定であったが、クリープ破壊試験装置、及び、試験体(構造用単板積層材)の作製に予定以上に時間を要したため、平成27年3月から構造用単板積層材を試験体とする長期継続荷重載荷試験を開始した。さらに、実大の製材(スギ材)を試験体とする長期継続荷重載荷試験については、構造用単板積層材の長期継続荷重載荷試験が想定以上に時間を要したため、平成27年7月から開始した。
さらに、実験に使用していた温湿度をプログラム制御する実験室が故障したため、平成27年9月以降、クリープ破壊試験を約6ヶ月間実施することができなかった。このため、当初予定していたクリープ破壊試験を全て年度内に終了することができなかった。平成28年3月に温湿度をプログラム制御する実験室の修理が完了し、クリープ破壊試験を再開して実施している。
クリープ破壊試験を中断する期間があったものの、構造用単板積層材と製材についてクリープ破壊に至る時間に関するデータを着実に得ている状況にあり、当初の予定よりも遅れているものの目標を達成しつつある。
一方、実大材がクリープ破壊に至る時間を算定するために、前年度に作成した材を構成する要素に対するモデルを用いて材全体をモデル化し、要素のクリープ破壊が蓄積して材全体がクリープ破壊に至る過程を個別要素法を用いて推定した。今後得られるクリープ破壊試験の結果と比較して、モデルの妥当性を確認する必要があるが、目標を達成しつつある。

今後の研究の推進方策

構造用単板積層材と製材の長期継続荷重載荷試験を継続して行う。また、既に作成している要素のクリープ破壊が蓄積して材全体がクリープ破壊に至る過程を個別要素法を用いて予測する方法については、今後得られるクリープ破壊試験の結果と比較して、モデル化の妥当性を確認する。さらに、一連の研究成果をとりまとめ、学術誌等に投稿する論文の原稿を執筆する。

次年度使用額が生じた理由

本研究では試験体に長期間荷重を載荷して試験体がクリープ破壊に至るまでの時間を測るという実験を行っている。当初想定した以上にクリープ破壊に至るまでに長い時間を要したことに加え、実験に使用していた温湿度をプログラム制御する実験室が故障し約半年間実験を行うことができなかったことにより、当初予定していた期間内に全ての実験を終了することができなかった。このため、クリープ破壊試験の実施に必要な試験体設置に係る費用とデータ記録用紙等の購入に必要な費用に残額が生じた。以上の理由により当該助成金に残額が生じた。

次年度使用額の使用計画

助成金は、製材(スギ材)を対象とする長期継続荷重載荷試験を行うために必要な試験体の設置するための費用として使用する。また、当初の予定通り、試験を行うのに必要な消耗品(データロガ専用プリンタ用紙)の購入費と報告書の印刷費として使用する。

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公開日: 2017-01-06  

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