研究課題/領域番号 |
25450262
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
山田 雄一郎 北里大学, 海洋生命科学部, 講師 (80458744)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | カイアシ類 / 動物プランクトン / 摂餌 / 植物プランクトン / 卵生産 / 脂肪酸 |
研究実績の概要 |
沿岸性カイアシ類Eurytemora pacificaのコペポダイト3期から6期(成体)の各種微細藻類(渦鞭毛藻Heterocapsa triquetra、Prorocentrum micans、ラフィド藻Heterosigma akashiwo)に対する摂食速度および濾水速度を算出し、さらに各種藻類を摂食させた時の雌成体の産卵回数および1回あたりの産卵数を求め、次いで各種藻類の栄養学的成分として脂肪酸組成を分析した。各種藻類に対する摂食速度および濾水速度は、Heterocapsa triquetraに対しては213~239 細胞/個体/時および0.69~0.89ml/個体/時、Prorocentrum micansに対しては154~161および0.34~0.37、Heterosigma akashiwoに対しては-351~-298および-0.12~-0.05であり、Heterosigma akashiwoを与えた場合は全く摂食活性を示さなかった。カイアシ類のコペポダイト3期から6期まで同一種の微細藻類を餌として与え続けた場合の成体雌の産卵回数および1回あたりの産卵個数は、Heterocapsa triquetraの場合は5.2回および41個、Prorocentrum micansの場合は5.7回および43個、Heterosigma akashiwoを与えた場合は産卵は確認されなかった。餌料として用いた各種微細藻類の脂肪酸組成の内、n-3系の高度不飽和脂肪酸(22:6(n-3)および20:5(n-3))の全脂肪酸量に占める割合は、Heterocapsa triquetraで8.6および7.9%、Prorocentrum micansで13.2および12.8%、Heterosigma akashiwoで1.8および10.5%であり、Heterosigma akashiwoにおいて22:6(n-3)の占める割合が他の2種に比べて低いことが明らかになった。以上のことから、本種カイアシ類の摂食活性および卵生産能には、餌となる微細藻類の高度不飽和脂肪酸、特に22:6(n-3)の含有量が関与していると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初はカイアシ類に与える微細藻類の種数を増やして摂食及び卵生産実験を行ない、微細藻類の栄養学的側面として脂肪酸の他にアミノ酸組成についても分析する予定であったが、他業務の遂行に多くの時間を要したため、当初の予定通りに本研究を遂行することができなかった。したがって全体の達成度はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は餌料として用いる微細藻類の種数を増やし、広範囲の分類群にわたる微細藻類に対するカイアシ類の摂食摂食活性および卵生産能について調べていく予定である。さらに、栄養学的価値としてのアミノ酸組成分析も行う。また、野外において採集した自然海水中でカイアシ類を飼育し、種々の微細プランクトンに対する本種カイアシ類の摂食活性についても明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は微細藻類の種数を増やしての実験および各種微細藻類のアミノ酸組成解析を予定しており、これらの実験に必要な物品代(微細藻培養株および高速液体クロマトグラフィー用カラムなど)を計上していたが、研究の進捗状況に遅れが生じたため上記物品を購入する機会がなく、当該金額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、前年度実施できなかった微細藻類の種数を増やしての摂食実験および微細藻類中のアミノ酸組成解析を行うため、当該金額を使用する予定である。
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