実験室内で飼育したカイアシ類Pseudodiaptomus marinusに8種の微細藻類(クリプト藻Rhodomonas salina、ハプト藻Isochrysis galbana、プラシノ藻Tetraselmis sp.、渦鞭毛藻Alexandrium tamarense、Prorocentrum micans、Heterocapsa triquetra、ラフィド藻Heteroshigma akashiwo、珪藻Chaetoceros didyms)をそれぞれ単独で与え、各微細藻に対する摂食速度を測定し、さらに成体雌の産卵数を求めた。本種カイアシ類成体雌の摂食速度(炭素重量ベース)は、R. salinaに対して最も高く(0.74ugC 個体-1 h-1)、C. didymsで最も低くなった(0.016)。本種カイアシ類雌成体の生涯産卵数は、R. salinaを与えた場合が最も高く(51.3個)、Hs. akashiwoを与えた場合が最も少なかった(2.2個)。カイアシ類の餌として用いた各微細藻類の脂肪酸組成を分析したところ、全脂肪酸量に占めるn-3系脂肪酸の占める割合がR. salinaで最も高く(47.8%)、C. didymsには全く含まれていなかった。これらの値と、カイアシ類の摂食速度(炭素重量ベース)との間には有意な正の相関が認められた。さらに、微細藻1細胞あたりの脂肪酸含有量を求め、カイアシ類の各微細藻に対する摂食細胞数を乗じてカイアシ類の各脂肪酸に対する取り込み速度を求めたところ、22:6(n-3)脂肪酸の取り込み速度がR. salinaを摂食させた場合に最も高く(659 fg 個体-1 h-1)、C. didymsを摂食させた場合は全く取り込まれていなかった。これらの値と、カイアシ類の生涯産卵数との間には有意な正の相関が認められた。
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