ウナギの完全養殖技術確立を目指して、仔魚の変態に伴う形態学的・生理学的変化と奇形発症について研究した。その結果、1)人工シラスウナギでは50%以上に天然魚ではほとんどみられない8種類の脊椎骨形態異常が観察された。2)仔魚の体表全体にある塩類細胞でNa+/K+-ATPase、Cl-チャネル、1型Na-K-2Cl共輸送体などのイオン輸送タンパクの免疫反応が観察され、これらが仔魚のイオンバランスを保つ役割を担っていると考えられた。3)飼育水槽中の水流が成長と形態異常に及ぼす影響を調べたところ、大きい流速の水槽で飼育された仔魚ほど体サイズが小さく、脊索後湾の形態異常をもつ個体が多いことがわかった。
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