研究課題
本研究期間の最終年度である平成27年度はこれまで得られた資料の整理・まとめ,関連学会での発表及び論文誌への公表に力点をおいて遂行した。具体的には以下の4点である。1. アマモ場中に出現する付着珪藻群集種組成の解明…モニタリングポイント数カ所の付着珪藻相の比較検討を行った結果,付着珪藻の出現傾向は,沿岸海流の影響が示唆されることを明らかにした。これは海流・水温と関連した指標珪藻の存在の可能性を示しており,温暖化指標としての利用が期待される(研究の柱1と2)。2. アマモ場及びその周辺環境の中に出現する付着珪藻群集主構成種の形態分類学的研究…4新種Fallacia decussata,Microcostatus salinus,Tabularia kobayasii,Parlibellus latirostrisの記載を行った。さらにアマモ場低層の砂地に生育する双縦溝珪藻メガネケイソウ類の分類形質の再検討を行った結果,中心域及び胞紋の壁の殻微細構造にタイプ分け可能な共通構造を見いだした(研究の柱2)。3. アマモ場付着藻類群集内における構成生物間の相互作用…群集主要構成種の珪藻-藍藻間の相互動態解明の為,付着藍藻及び藍藻上の付着珪藻フロラ調査を遂行した。両者の生化学的解析も行い,海洋生物由来の化合物による付着珪藻生育阻害を調べるためのXTT試薬を用いた新たな簡易活性試験法を確立した(研究の柱3)。4. 出現種情報のデータベース化と簡便な出現種同定法の公表…継続的なモニタリング調査により得られた海産底生珪藻の光学及び電子顕微鏡写真データと同定に必要な分類形質を最近の分類体系に基づいて簡潔にまとめた。この資料は関連所属学会より書籍として平成28年末に出版予定(研究の柱4と5)。
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