研究課題/領域番号 |
25450273
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
一色 正 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (30378319)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 魚病 / ウイルス / 感染症 / 水産学 / 病理学 / 免疫学 |
研究実績の概要 |
本年度の研究では,ヒラマサにブリ腹水症ウイルスyellowtail ascites virus(YTAV)を実験感染させることにより,鰓黒点の出現を再現させ,ウイルス感染に伴う死亡の推移,鰓黒点の発現動態および諸器官におけるウイルスの増殖の関連について検討した。また,鰓黒点を呈する各種ウイルスの実験感染魚および自然発病魚の鰓を光顕ならびに電顕により観察し,鰓黒点の正体を病理組織学的に検討した。一方,ホルマリンで不活化したウイルス性出血性敗血症ウイルスviral hemorrhagic septicemia virus(VHSV)を接種したヒラメにおける鰓黒点の出現状況を観察した。その結果,検体魚における鰓黒点の発現強度の日別平均値のピ-クは,日間死亡率のピ-クより遅れて現れた。一方,YTAVの標的器官である肝臓のウイルス感染価と鰓黒点の発現強度には正の相関が認められた。しかし,感染後期には黒点が陰性であっても肝臓からウイルス感染価の検出される生存魚が確認された。これらのことから,鰓黒点の発現には感染の後期に誘導される獲得免疫よりも,初期に誘導される自然免疫が関与しているのではないかと推察される。病理組織学的検討の結果,いずれのウイルス感染魚においても鰓薄板の毛細血管内にメラノマクロファ-ジに類似する黒色細胞の出現が観察された。また,ホルマリン不活化VHSVを接種したヒラメでは,鰓黒点は出現しなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は昨年度に購入を見送った備品も購入し,それを使用して実験サンプルの解析を進めることができた。その結果,昨年度に発生した研究の遅れは解消できたため,ほぼ当初の計画どおりに研究を遂行中である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度までの成果を踏まえ,以下の2項目を中心にして研究し,黒色顆粒の正体とその形成機構を突き止め,本現象と生体防御反応との関連性を明らかにする。 1)黒色顆粒の単離とその分子学的解析(黒色顆粒の正体は何か,黒色顆粒を特異的に検出する),2)黒色顆粒の形成機構の解析(生体防御反応との関連を探る)。
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