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2013 年度 実施状況報告書

人工光影響下におけるツツイカ目イカ類の摂餌集群説の検証

研究課題

研究課題/領域番号 25450277
研究種目

基盤研究(C)

研究機関長崎大学

研究代表者

松下 吉樹  長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 教授 (30372072)

研究分担者 菅 向志郎  長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 准教授 (60569185)
清水 健一  長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 准教授 (20533946)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード光 / イカ類 / 集群 / 餌生物 / DNA
研究概要

集魚灯の配光特性,空中での減衰,水面での反射・屈折,水中での散乱および減衰等を考慮した光学モデルを開発した。また,集魚灯光の計測を屋内水槽および屋外のセミフィールドで実施し,実測値とモデルから導出した理論値との平均二乗誤差(RMSE)の値により評価した。その結果,RMSEの値は屋内水槽とセミフィールドのいずれにおいても無視できない大きさであり,水面の状態(波の有無)や水中の濁りの影響が非常に大きいと考えられた。こうした影響を踏まえたモデルの改良が必要と考えられた。
山口県のイカ釣り漁業で漁獲されたケンサキイカ15個体の胃内容物を船上でそれぞれ,氷蔵,EDTA浸漬のち氷蔵,RNA later浸漬のち氷蔵で保存した。同様に以西底曳網漁業で漁獲されたケンサキイカ10個体の胃内容物を緩慢冷凍で保存した。さらに福岡県のイカ釣り漁業では漁獲直後に急速冷凍した18個体の胃内容物を研究室で摘出した。これらのケンサキイカの半数以上が空胃状態で,空胃状態と漁獲された海域や季節,漁業種類との関係は明確でなかった。EDTA浸漬のち氷蔵のサンプル3つのうち,2つから種同定が可能な数万塩基対のDNAが回収できた。一方,氷蔵,冷凍,RNA later浸漬のち氷蔵で保存した39サンプルのうち半数以上でDNAは回収できず,回収できた場合でも数万塩基対のDNAは1サンプルだけで,他は全て種同定が困難な数百塩基対のDNAであった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の目標とした
①イカ釣り漁船周囲の光環境の測定
②人工光影響下の生物群集変化の調査
③漁獲されたイカの胃内容物の分析
のうち,①と③を飛躍的に進展できた。すなわち,光環境を測定するとともにこれを再現できるモデルの開発に着手し,完成するまでには至らなかったものの今後の改善点まで検討することができた。また,イカの空胃状況を複数の漁業種類において示すとともに,胃内容物を保存するための方法を確立した。

今後の研究の推進方策

今後は,人工光影響下の生物群集変化について 練習船を利用して引き続き調査を行い,資料の蓄積をはかる。また,確立した胃内容物の保存方法を用いて,さらにイカ胃内容物標本を収集し,検鏡とmtDNA解析により餌生物を同定する。また,近隣の水域における光を利用しない漁業で漁獲されたイカ胃内容物の収集も実施して同様の観察・分析を行う。そしてこうした漁業技術の違いがイカの食性に及ぼす影響を検討・考察する。
さらに,水塊内の生物の時空間分布およびこれら生物のmtDNA解析結果と,胃内における餌生物の量と組成,mtDNA解析による生物種同定,リアルタイムPCR装置による定量解析結果を照合し,水塊内と胃内における生物種および生物量の類似度を比較する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 近接して集魚灯を点灯する漁船間の水中の光量子束密度分布の変化2014

    • 著者名/発表者名
      松下吉樹・眞角聡・清水健一・舛田大作・水田浩二・古原和明
    • 学会等名
      平成26年度日本水産工学会学術講演会
    • 発表場所
      銚子市商工会館(千葉県銚子市)
    • 年月日
      20140531-20140601

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公開日: 2015-05-28  

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