研究課題/領域番号 |
25450279
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
林崎 健一 北里大学, 水産学部, 准教授 (80208636)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 安定同位体比 / 餌履歴 / 水温履歴 / シロザケ / レジームシフト / 鱗 |
研究概要 |
本研究の目的は、シロザケを例として海洋生活期中の生活史を過去に振り返って検討する手法を開発し、過去の環境変動と生残・成長等の資源変動の関連を検討することにより、近年のシロザケ不漁の原因究明の一助とすることにあり、以下の2項目を実施することとした。 (1)長期にわたる資源量と成長変動データベースを構築する (2)鱗等の硬組織の安定同位体分析により環境履歴を復元する手法を開発する 2013年度は、これらの基礎的データを得るために、岩手県南部に回帰したシロザケを中心に調査を行った。また、同地域で1980年代後半以降に採取した鱗試料の一部を安定同位体分析に供するとともに、対応する年度の資源量、成長量と比較検討した。炭素安定同位体比は近年に向かって高くなる傾向がみられた。一方、窒素安定同位体比においては、2000年頃まで高くなり、その後低下する傾向がみられた。調べた年度において窒素安定同位体比と体成長に正の相関が見られた。さらに、同一年度内で海洋生活年間で安定同位体比を比較すると、海洋生活2年目において、炭素・窒素安定同位体比が低下する傾向があった。これらの結果は、海域や年度による海洋環境の差・変化に対応して餌環境が変化したことを反映したものと考えられた。調査期間にベーリング海の表面水温の変化があったことも報告されており、来年度以降実施する水温履歴解析に期待が持たれる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
水温をコントロールした飼育実験を行い、水温履歴推定のモデル化を行う予定であったが、供試魚の成長が悪くまた歩留まりも悪かった。そのため得られた試料の量が十全なものでなかった。 東日本大震災のため、過去に入力したデータベースのかなりの部分が失われており、再入力の必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
(1)本年度は、安定同位体分析による水温履歴推定法確立に注力する。 (2)シロザケの資源量・成長データベースを再構築する。 (3)岩手県南部の少数河川で長期間をカバーするように鱗の炭素・窒素安定同位体分析の事例を増やすとともに、他地域にも分析対象を広げる。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初、水温履歴推定に用いる試薬類を購入予定であったが、実験魚の飼育が年度末までかかったため、当該試薬類の劣化を恐れて年度内の購入を見合わせた。 翌年度分として請求した助成金と合わせ、水温履歴推定に用いる試薬類を購入予定である。
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