研究課題/領域番号 |
25450280
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
福井 篤 東海大学, 海洋学部, 教授 (90307249)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 駿河トラフ / 卵稚仔 / トカゲギス科 / セキトリイワシ科 / アシロ科 / クサウオ科 / 近底層 |
研究概要 |
平成24年度では,4月,6月,9~12月に,各月原則として1日間,東海大学海洋学部の小型舟艇北斗(20t)を用い,駿河トラフ北側の水深1000→1200 mの近底層調査を行った.採集ネットとして,9月までは深海近底層用として開発したビームトロールを用いた.ビーム枠の大きさは下幅2.2 m×上幅1.7 m×高さ0.7 mで,総重量360kgである.枠の下縁から上方10 cmに,側長5.5 mのネット(目合い2 mm)を取り付けた.10月以降では,駿河湾陸棚斜面近底層の採集に用いた浮上式のリングネットを使用した.この方法では,総重量約300 kgのレッドを引きずりながら,ネットを曳網する.ネットはろ過効率を向上させた口径1.3mのリングネット(目合い0.53 mm)を用い,レッドの上方10 mに取り付けた. 採集された深海近底層性魚類は計43個体で,16分類群に識別された.これらのうち,クサウオ科インキウオ属では種名不明の2タイプ(計16個体)が採集され,現在,種の帰属を研究中である. 予定していた駿河トラフ南側の測点(水深1900→2200 m)では,東海大学の望星丸(2174t)を用いてビームトロールによる採集を9月に実施したが,海底にひっかかり,ビームトロールを回収することはできなかった. 研究計画では,深海近底層用ビームトロールを主体に採集することを予定していたが,ビームトロールでは底泥が混在し標本の破損が避けられないことや駿河トラフ南側では海底にひっかかるなどの欠点が露呈された.一方,浮上式のリングネットの場合,底泥の混入が少なく標本は破損せず,海底にひっかかる確率も低く,採集される種類数もビームトロールに比べ遜色ないことが明らかにかった.したがって,今後,浮上式のリングネットを用いて,駿河トラフ北・南側の近底層採集を行うこととする.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,次の3項目を最終目的としている.A. 駿河トラフ近底層の魚類相の把握, B. ニギス目セキトリイワシ科,タラ目ソコダラ科,アシロ目アシロ科,スズキ目クサウオ科などの個体発育(形態および食性,成長,再生産,産卵期,利用状況を含む),C. 成育場としての駿河トラフの評価(トラフ vs. 駿河湾内陸棚斜面,トラフの北側 vs. 南側). 平成24年度は研究初年度である.採集方法や採集定点が決定された.採集物には,セキトリイワシ科,アシロ科,クサウオ科などの仲間が,個体数は少ないが,確実に採集されており,上記の目的に資する標本が得られている.一方,底質の状況から駿河トラフ南側の測点(水深1900→2200 m) での採集は平成24年度では失敗したが,こちらの測点については,今後,駿河トラフ北側と同様,浮上式の採集方法を試みる.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度では,駿河トラフの北側(水深1000→1200 m),南側(水深1900→2200 m)とも,浮上式近底層採集方法を用いて,深海近底層性種の採集を実施する.ビームトロールは9.で記載したようなリスクが高いことなので,研究計画とは異なり,実施しない.用いるネットは口径1.3 mから1.6 mへ大型化し,レッドも10%程度重量を増やす.採集努力を増やして,深海近底層性種の標本を集める.
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次年度の研究費の使用計画 |
使用船舶である東海大学小型舟艇北斗が新しくなるため,傭船が困難となり,特に平成26年1~3月ではまったく調査が実施できなかった.それによって,調査にかかわる費用があまったことによる. 調査にかかわる消耗品に使用する.
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