研究課題/領域番号 |
25450280
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
福井 篤 東海大学, 海洋学部, 教授 (90307249)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 深海底生性魚類 / 駿河トラフ / アシロ科 / クサウオ科 / セキトリイワシ科 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,駿河湾において深海近底層調査を実施し,セキトリイワシ科,アシロ科およびクサウオ科などの個体発育や分類学的知見を充実させることである. [平成28年度調査の概要] 駿河トラフの水深1240-1500 m,1600-1750 mおよび1900-2150 mの3地点において,東海大学小型舟艇北斗を用いて,近底層調査を実施した.用いた採集方法はビーム型着底式ネット(幅1.5 m,高さ80 cm)である.予定した24航海のうち13航海が実行でき(他は海況が悪いため中止),曳網回数はのべ13回であった. [今までに採集された深海近底層性魚類の概要] 駿河トラフで優占する深海近底層性魚類はセキトリイワシ科,アシロ科およびクサウオ科である.ここでは,今までに200個体以上採集されているクサウオ科の出現状況は次のとおりである.(1)駿河湾初記録となるアオインキウオを採集(採集地としては,我が国2番目).(2)コンニャクウオ属の1未記載種(1個体)を採集.(3)インキウオ属の2未記載種(1個体と155個体を採集.(4)インキウオ属の未同定種を採集.これは日本初記録種か未記載種である.インキウオ属の2未記載種と未同定種は,歯の形状,鰓の位置,胸鰭下葉の形状および鰭条数が互いに異なる. [投稿論文] 比較標本とした西インド洋産アシロ科フクメンイタチウオ属の1種を新種とした論文がIchthyological Researchに公表された. [学会発表] 駿河湾産深海性クサウオ魚類の未記載種について日本魚類学会でポスター発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
採集そのものが困難をきわめるために,海況が少しでも悪いと調査が不可能となる.このため,思うように採集努力を投じられないが,採集物からは複数の未記載種が採集されている.このことから,研究全体ではおおむね順調に進んでいると判断できると評価できる.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,本研究の最終年度である.以下の内容でまとめていく. 〇駿河トラフにおける深海底生性魚類の構成種 〇未記載種の形態的特徴の把握,および投稿 〇深海性クサウオ科魚類の個体発育 駿河湾の深海性クサウオ科魚類は,駿河トラフ(水深1200 m以深)に生息する種と陸棚斜面(500-1000 m)に生息する種に分けることができそうである.駿河トラフと陸棚斜面の構成種を調べ,両者の個体発育を比較し,次の研究につなげる.
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次年度使用額が生じた理由 |
海況が悪く,計画通りに採集調査ができなかったことによる.
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次年度使用額の使用計画 |
採集調査に必要な消耗品費(ネットや採集容器)に使用する.
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