研究課題/領域番号 |
25450281
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
篠田 章 東京医科大学, 医学部, 講師 (70401297)
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研究分担者 |
青山 潤 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (30343099)
吉永 龍起 北里大学, 水産学部, 講師 (30406912)
阿見彌 典子 北里大学, 水産学部, 講師 (20588503)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ニホンウナギ / 熱帯ウナギ / ルソン島 / 初期生活史 / 接岸回遊 / 耳石 |
研究実績の概要 |
フィリピン・ルソン島北部のカガヤン川河口において,2014年3月から2015年2月までの新月に採集したシラスウナギの標本を得た。昨年度の採集標本と併せて,22ヶ月に及ぶシラスウナギ接岸群の標本を得ることができた。 2009年の1月と2月にカガヤン川河口で採集したルソンウナギA. luzonensis (n = 11) のシラスウナギの耳石微細構造を初めて解析し,その初期生活史を推定した。接岸時の体長は48.0 ± 2.0 mm (平均 ± 標準偏差.; 範囲,43.1 - 50.1) であり,色素発達段階はⅤA~ⅥA0と比較的初期の発達段階で接岸していた。それぞれの初期生活史段階の長さは,レプトセファルス期が,129.6 ± 10.7 日 (113 - 146),変態期が18.4 ± 3.7 日 (13 - 25),シラス期が17.6 ± 5.1 日 (7 - 23)であり,接岸時の日齢は165.6 ± 10.7 日 (151 - 184)であった。これらの個体は2008年の8月と9月に孵化したと推定された。外洋で採集したルソンウナギのレプトセファルス3個体の推定孵化月は2月と3月とされていたため,本種の産卵期は少なくとも半年以上にわたることが示唆された。同時期に同所に接岸した,セレベスウナギA. celebesensis (2個体) についても同様の解析を行ったところ,全長が45.4, 46.9 mm, 色素発達段階がVA であり, ルソンウナギと変わらなかった。接岸日齢は121,146日で,初期生活史の長さは,それぞれ 87 日と100 日, 10 日と 28 日, 24 日と 18 日であった。セレベスウナギはルソンウナギに比べ,レプトセファルス期が短い傾向がみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年間に亘る継続的なシラスウナギのサンプルを得ることができた。遺伝子による種査定、耳石による初期生活史推定についても技術的な問題はなく、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに採集したシラスウナギの種査定,初期生活史推定を進める。各種の接岸状況と初期生活史を比較することにより,シラスウナギ接岸量の変動要因について考察をおこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
先方の都合により,フィリピン・ルソン島への採集調査を年度末に行った。
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次年度使用額の使用計画 |
繰り越した助成金は,翌年度請求分と合わせて旅費に充てる。
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