研究課題/領域番号 |
25450285
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
塚正 泰之 近畿大学, 農学部, 教授 (90298943)
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研究分担者 |
伊藤 智広 近畿大学, 農学部, 准教授 (30435854)
安藤 正史 近畿大学, 農学部, 教授 (80247965)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 培養細胞 / メト化 / 水銀吸収 / Caco-2細胞 / 線維芽細胞 / 光老化 |
研究実績の概要 |
27年度:ミオグロビンのメト化抑制物質探索は細胞培養条件の構築がうまくできなかったため,活魚への血管内注射試験で実施した。注射直後に物性の劣化が認められたため,麻酔,脱血,注射の各処理の影響を貯蔵初期の段階について破断試験と組織観察で確認したが,それらの処理による影響ではないことが判明した。天然物としてカテキンの効果を調べ,10mMがpHと破断強度の低下を抑制することが確認された。 ゼブラフィッシュの線維芽細胞BRF41細胞を使って紫外線照射誘導の光老化作用を検討したが,細胞条件設定がうまくできなかったため,ヒト正常細胞(線維芽細胞)を使って検討した。UVBを細胞に照射すると細胞からコラーゲンを分解するマトリックスメタロプロテアーゼ-1が合成され、培養液中へ放出されるためこの量を測定した。効果のあった植物エキスXについて、UVB照射後の細胞内活性酸素種濃度とこの発生した細胞内の活性酸素種によって活性化する酸化ストレスシグナルのp38MAPKの活性化がエキス処理によって低下することを確認した。 Caco-2細胞を用いてシシトウ圧搾液の水銀吸収阻害効果を調べた。シシトウ圧搾液を分画分子量3000の限外ろ過膜で分画後,分子量3000以下の画分をゲルろ過によって分画した。分画試料をCaco-2細胞にメチル水銀とともに供した。その結果,最も分子量の大きい画分において試料液添加後6時間において対照区よりも有意に低い水銀吸収率が認められた。また,逆に吸収を促進した画分も認められた。シシトウ圧搾液には分子量3000前後の水銀吸収阻害物質が含まれると考えられた。 研究期間を通じて,マグロの細胞を用いた有用天然物質の探索は達成できなかったが,ヒト由来細胞を用いることで光老化,水銀吸収阻害等に対する有用物質を見出すことができた。また,赤身魚のメト化に対しても有効な物質と濃度を明らかにした。
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