研究課題
基盤研究(C)
サケ科魚類の個体群動態を規定する要因を明らかにするため,4河川に生息するサケ科魚類のモニタリンデータの収集および解析を行った.北海道北斗市を流れる戸切地川は,在来種のアメマスと外来種のニジマスおよびブラウントラウトについて,2002年から継続して個体数モニタリングを行っており,2013年の調査結果を合わせて12年分のデータが蓄積された.時系列で種ごとの個体群動態を見ると,アメマスは減少,ニジマスは増加,ブラウントラウトは小型魚は増加し大型魚は減少する傾向にあった.これまでに得られたデータを用いて,環境要因と個体群動態の相関分析を行った結果,ニジマスの再生産効率は7月の降水量と負の相関が認められ,稚魚が浮上する時期の出水が少なかった年ほど,初期減耗が低くなることが示唆された.北海道羅臼町を流れる居麻府川および山梨県富士川支流のモニタリング調査も予定どおり実施し,それぞれ12年間及び9年間の個体群動態のデータが蓄積された.居麻府川は,調査を開始した2002年はサクラマスが生息しなかったが,徐々に個体数が増加し,遡上が不可能であった2基の治山ダムに魚道が設置されて以降は,サクラマス幼魚の生息個体数が10倍以上に増加した.札幌市内を流れる豊平川は,サケのふ化放流が実施されるとともに,豊平川さけ科学館によって1990年から産卵床数のモニタリングが実施されている.既存のデータを参考にして,放流魚と野生魚(自然卵卵由来の魚)の双方を組み入れた個体群動態モデルを構築するとともに,管理目標に応じて放流数をコントルールする管理方式の開発をおこなった.
2: おおむね順調に進展している
計画していた野外調査を全て実施することができ,計画していたサケの個体群動態モデルの開発も行った.
当初の計画通りに野外調査を実施するとともに,得られた成果の学会発表および論文化を進める.
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)
Journal of Animal Ecology
巻: 83 ページ: 1268-1278
10.1111/1365-2656.12240
Journal of Ichthyology
巻: 53 ページ: 884-888