研究概要 |
宮城県内水面試験場で保持している三陸産サクラマス個体群を用いて、交配試験を行った。成熟した雌160尾、雄48尾を用いて、雌10尾分の卵に雄3尾分の精子を受精させる交配を1組として、合計16組の交配により約10万粒の受精卵を得た。交配親魚組合せと各個体の体測データ、およびDNA抽出用のヒレサンプルを保存した。 得られた卵が発眼卵の発育段階に達した時点で2分割し、約5万粒を協力民間養殖業者に飼育を委託し、残りを宮城県内水面試験場で継代用に飼育を継続した。 親子・兄弟判別用に、交配に用いたサクラマス個体群に適用可能なDNAマーカーを開発するため、サクラマスゲノムを網羅的に次世代シーケンサーで解析し、927カ所のマイクロサテライト(MS)候補領域を予測した。この中から、本個体群に適用可能なMSマーカ26種類を得た。本成果の一部は、Yamamoto et al.(2013)として発表した。また、全雌種苗作出に必要な偽雄(遺伝的な雌を雄に性転換させたもの)作製のための遺伝的な雌雄判定DNAマーカーを得るため、マスノスケのY染色体マーカー(OtY2)(Brunelli and Thorgaard, 2004)を本個体群でテストした。その結果、交配に用いた親魚の雌雄とOtY2マーカーによる判定結果が一致したことから、OtY2は本個体群にも適用可能であると判断された。 Yamamoto et al.,2013; Int J Mol Sci., 14, 23153-23159. Brunelli and Thorgaard, 2014; Trans Amer Fish Soc, 133, 1247-1253.
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