研究課題
ヒトの大腸内には500種以上の細菌が100兆個以上存在しているとされ、その膜成分や代謝活性によって、宿主へ大きな影響を与えると考えられている。本研究においては、日本の伝統的な水産食品の腸内環境に及ぼす影響を調べるため、海藻成分や魚油などをラットに投与した場合の腸内フローラの変動をPyro-sequence法を用いて解析し、明らかにすることを目的としている。H26年度は日本で多く食されている褐藻類に水溶性多糖類のアルギン酸およびラミナランについて検討し、腸内フローラの変動とともに、腸内発酵の促進、腸内腐敗産物の低減が認められた。H26年度は計画どおりAIN飼料のタンパク源のミルクカゼインを大豆タンパクおよび魚粉に置き換えた場合の影響について検討した。その結果、大豆タンパクおよび魚粉を摂取したラットではインドール、硫化水素、フェノールなどの腐敗産物が増加した。そこで、本来はH27年度に予定していた西洋食、和食(大豆タンパクを多く含む)、および漁村食モデル(大豆、魚粉、海藻を多く含む)食餌を調製し、同様に検討した結果、仮想の接種により腸内腐敗産物は抑制されることが示された。H27年度は腸内環境の改善を示した褐藻類中の水溶性多糖類アルギン酸およびラミナランについて、病原菌の侵入に対する影響をヒト腸管上皮様HT-29 luc細胞およびマウスを用いた実験を行った。どちらの多糖類もHT-29 lucへの病原菌(サルモネラ、リステリア、ビブリオ)の付着を抑制した。一方マウスへサルモネラを経口接種した場合には、アルギンは感染を抑制したが、ラミナランによる効果は認められなかった。
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Carbohydrate Polymers
巻: 125 ページ: 113-119
org/10.1016/j.carbpol.2015.01.078