研究課題
基盤研究(C)
細胞性免疫の誘導に関与するサイトカインであるInterleukin (IL)-12遺伝子をカンパチより単離した。免疫刺激剤で刺激を行ったカンパチ頭腎白血球におけるIL-12遺伝子の発現を調べたところ、IL-12p40遺伝子はLPSやPoly I;Cにより発現が誘導されたが、IL-12p35遺伝子はLPS刺激時にのみ発現が誘導された。本遺伝子は平成26年度以降に計画している抗酸菌に対する細胞性免疫応答評価において重要な指標となり得ることが考えられる。ノカルジア症は腎臓や脾臓における結節形成を伴い、ゆっくりと病態が進行して発症個体が観察された頃にはすでに手遅れであることから、感染早期に診断可能な技術が求められている。また本症の詳細な発症メカニズムがほとんどわかっていないことから、Nocardia seriolaeを人為感染させたカンパチにおける結節形成過程と細胞性免疫関連遺伝子の動態を調べた。その結果、感染後14日目に体腎の肥大が観察されはじめ、21日目には腎臓における結節の形成が観察され始めた。その後は結節の数が増加していく傾向にあった。細胞性免疫関連遺伝子IFN gammaの発現は感染後7日目より有意に上昇し始め、21日にピークを迎えた後減少した。細胞障害性T細胞マーカーであるCD8遺伝子の発現は感染後14日目より上昇し28日目まで有意に強い発現を示していた。これらのことから哺乳類の結核と同様に魚類の抗酸菌症についても感染により誘導された細胞性免疫が結節形成を助長するとともに感染の拡大を招いていることが推察された。このことより、魚類の抗酸菌症の早期診断に細胞性免疫応答が指標となることが考えられた。
3: やや遅れている
ブリおよびカンパチのInterferon gamma組換え体の作製がまだ完了していない。また、養子移入効果試験を用いた抗酸菌免疫における細胞性免疫の役割解明についても進行中である。
平成25年度に予定していたブリ属魚類のInterferon gamma組み換え体の作製および抗体の作製を早急に行うとともに平成26年度の予定しているブリ属魚類を用いた抗酸菌に対する細胞性免疫応答評価技術の開発を進める。
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