研究実績の概要 |
1. 硬骨魚類胃キチナーゼの精製・性質・機能解析およびcDNAクローニング: マイワシ胃より45kDaおよび49kDaのキチナーゼを精製し、その性質、機能解析を実施した。またそれぞれの遺伝子SmChi-1、SmChi-2を取得した。演繹アミノ酸配列の比較より、SmeChi-1とSmeChi-2はいずれもシグナルペプチド、family18活性ドメイン、リンカー部、キチン結合ドメインにより構成されるが、他の硬骨魚類胃キチナーゼよりも長いリンカー部を有していた。両キチナーゼは酸性域で良く作用し、基質特異性は両者で異なる事を明らかにした。 2.軟体動物ミズダコ唾液腺キチナーゼの精製・機能解析: ミズダコ唾液腺より各種クロマトグラフィーを用いて42kDaキチナーゼを精製し、機能解析を実施した。本酵素は(GlcNAc)6を基質として用いた場合、(GlcNAc)n, (n=2-4)を生成し、(GlcNAc)n, (n=2, 3)は分解しなかった。(GlcNAc)n分解生成物にはβ-アノマーの増加が認められ、この性質はGHファミリー18キチナーゼのそれと一致した。 3.コウイカ肝臓キチナーゼのcDNAクローニング: コウイカ肝臓よりRT-PCRおよびRACE法を用いて1,508 bp(ORFは1,380bp)のcDNAを得た。他の生物との相同性は、ジャンボアメフラシのキトトリオシダーゼ-1様タンパク質と47%の一致を示すこと、肝臓で発現していることを明らかにした。 4.ガザミ中腸腺キチナーゼのcDNAクローニング: 既にガザミ中腸腺より1種のキチナーゼ遺伝子PotChi-1を得ているが、さらにRT-PCRおよびRACE法を用いて約2,232bp(ORFは1,470bp)の遺伝子PotChi-2を得た。PotChi-2は中腸腺のみで発現していることを明らかにした。
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