平成27年度の実績 ・軟体動物キチナーゼの精製と性質:マダコ盲嚢より各種クロマトグラフィーを用いて57kDaキチナーゼを精製し、各種性質および基質特異性を測定した。本酵素は,カニ殻αキチン>イカ軟甲βキチン>エビ殻αキチン>カイコ幼虫表皮αキチンの順に分解能を示した。・新規キチナーゼ遺伝子のcDNAクローニング:硬骨魚類腎臓より新規キチナーゼグループFCase-3を形成するキチナーゼ遺伝子を複数、軟骨魚類ホシザメ胃より1種の遺伝子を取得した。また、軟体動物アメフラシよりキチン結合ドメイン(CBD)を欠く遺伝子、マダコよりCBDを1つ持つ遺伝子を取得した。・魚類胃キチナーゼの異種宿主発現系の構築と発現:カサゴ胃キチナーゼ遺伝子をコールドショック発現ベクターに挿入した発現系を構築し、大腸菌による発現を実施した。また、ホシザメ胃キチナーゼを発現ベクターpPICZαAに挿入して酵母を用いた発現を実施し、発現条件を検討した。 研究期間全体を通しての実績 本研究ではカニ・エビなどの強固な結晶性キチンを分解して、機能性食品として役立つオリゴ糖・単糖生成に役立つ新規キチナーゼを海洋生物から検索するため、多種海洋生物よりキチナーゼを精製し、その機能を解析した。さらにそれらキチナーゼを利用するため、全長遺伝子の取得および発現系構築・発現を目的とした。・キチナーゼの精製および機能解析:魚類胃より4種、軟体動物より2種のキチナーゼアイソザイムを精製し、その機能を解析した。・キチナーゼ遺伝子の取得:魚類胃より7種、軟体動物より3種、甲殻類より1種のキチナーゼ全長遺伝子を取得した。また、魚類腎臓より新規キチナーゼグループFCase-3を形成するキチナーゼ遺伝子を取得した。・異種宿主を用いたキチナーゼの発現:大腸菌および酵母を用いたキチナーゼの発現系を構築し、発現条件を検討した。
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