研究課題/領域番号 |
25450311
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 独立行政法人水産総合研究センター |
研究代表者 |
奥村 卓二 独立行政法人水産総合研究センター, 増養殖研究所, 主幹研究員 (30372030)
|
研究分担者 |
大平 剛 神奈川大学, 理学部, 准教授 (10361809)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 内分泌 / 甲殻類 / クルマエビ / 性分化 / 精子形成 / 造雄腺ホルモン |
研究概要 |
1.造雄腺ホルモンの合成部位の特定:クルマエビ造雄腺ホルモンのcDNAを鋳型にしてプローブを作り、in situ hybridization法により造雄腺ホルモン遺伝子が発現している部位を調べた。その結果、精巣から延びる輸精管の末端部にある貯精嚢の先端部分が陽性反応を示した。それ以外の部位に明瞭な陽性反応はなかった。陽性反応を示した細胞群は、楕円形の核を持つ直径数マイクロメートルの細胞からなっていた。組織学的特徴によりクルマエビ類の造雄腺を調べた研究では、輸精管の中間部に造雄腺が付着しているとする報告もあれば貯精嚢に付着しているとする報告もあり、クルマエビ類における造雄腺の存在部位は不明瞭であった。本研究でin situ hybridization法を使って造雄腺ホルモン遺伝子の発現部位を特定したことにより、クルマエビ造雄腺が主として貯精嚢の先端部に存在することが明らかになった。この成果を利用することで、造雄腺を確実に特定して造雄腺ホルモン遺伝子発現定量のためのサンプリングや造雄腺移植などの実験が実施できる。 2.造雄腺ホルモン発現量の定量:造雄腺ホルモンの遺伝子発現量を定量PCRで測定して発現量と精子形成との関連を明らかにするために、精子形成開始前の未熟期と精子形成が進んでいる成熟期の雄クルマエビから造雄腺ホルモン合成部位である貯精嚢先端部をRNA抽出用サンプルとして集めた。26年度もサンプリングを継続し、充分なサンプルが集まった時点で発現量の測定を行う。 3.造雄腺移植:造雄腺移植の予備実験として、雄エビから摘出した貯精嚢を雌稚エビの頭胸部腹面に移植して生残率を調べた。移植100日後に半数が生残していた。造雄腺ホルモン合成部位である貯精嚢先端部を雄エビから雌エビに移植して実験可能と判断できた。26年度に本格的な移植実験を開始する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた、造雄腺ホルモンの合成部位の特定、造雄腺ホルモン発現定量、造雄腺移植の3種類の実験について予定通り実施できたため、「おおむね順調に進展」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
25年度に研究全体の基礎となる造雄腺ホルモン合成部位の特定ができたため、26年度では、本格的な移植実験を実施して移植の影響を調べ、さらに造雄腺ホルモンの発現定量をして発現量と精子形成の関連を明らかにする。
|