研究課題/領域番号 |
25450311
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研究機関 | 独立行政法人水産総合研究センター |
研究代表者 |
奥村 卓二 独立行政法人水産総合研究センター, 増養殖研究所, 主幹研究員 (30372030)
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研究分担者 |
大平 剛 神奈川大学, 理学部, 准教授 (10361809)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 内分泌 / 甲殻類 / クルマエビ / 性分化 / 精子形成 / 造雄腺ホルモン |
研究実績の概要 |
1.造雄腺ホルモン発現量の定量 造雄腺ホルモンの遺伝子発現量と雄の繁殖活性との関連を明らかにするため、飼育下の雄クルマエビから貯精嚢先端部を3月、6月、8月に集め、RNA抽出して逆転写定量PCRを行った。各月の雄エビの平均体重は5.6, 13, 19 gであった。どの月でも精子形成が行われ、貯精嚢内には精子が蓄積されていた。貯精嚢の大きさは3月から8月にかけて大きくなり、精子形成が活発になっていると考えられた。造雄腺1個あたりの造雄腺ホルモン遺伝子発現量は3月、6月、8月と増加し、8月は3月の約45倍になっていた。さらに、天然雄クルマエビ(体重45 g)の造雄腺ホルモン遺伝子発現量は8月の飼育エビより2倍近く高かった。 以上から、成長にともない造雄腺ホルモン遺伝子発現量が増加することが明らかになった。その増加量は、体重の増加より大きく、体サイズが大きいほど造雄腺ホルモン遺伝子発現活性が高まると考えられた。体サイズが大きいほど生殖腺指数が高く貯精嚢も大きいため、造雄腺ホルモン遺伝子発現量と雄の繁殖活性との間に正の相関があると考えられた。そのため、造雄腺ホルモンが合成され血中量が高まることで雄の繁殖活性が高まることが示唆される。
2.造雄腺移植 外部形態から雌であることが明らかに判別できるサイズの雌稚エビを使って、雄エビから摘出した貯精嚢を移植した。対照区には雄の筋肉を移植した。50日間飼育し、腹肢の二次性徴を観察したが、雄の特徴は現れなかった。移植する雌稚エビのステージと影響を調べるマーカーを検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調
当初計画していた、造雄腺ホルモン遺伝子発現量と雄の生殖活性との相関を明らかにできたため、「おおむね順調に進展」と判断した。造雄腺移植については実施したものの効果がでていない。当初からある程度の困難を想定して3年かけて取り組む計画なので、改善して3年目にも取り組む。
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今後の研究の推進方策 |
26年度に雌稚エビへの造雄腺移植を実施したが効果が得られなかった。27年度では、外部形態だけでなく、ビテロジェニン遺伝子発現量をマーカーとして造雄腺移植の影響を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
26年度に支出を予定していた賃金と遺伝子解析の外部委託費を使用しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
繰り越した次年度使用額を27年度助成金に加え、検体数を増やしてクルマエビ精巣等の発現遺伝子解析を行い、クルマエビ造雄腺ホルモンの影響を受ける遺伝子の特定を行う。
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